ChatGPTやClaudeの「広告ツール」を装う詐欺サイトが見つかる。「つなぐ」ボタンから、広告アカウントのパスワードと確認コードを盗む
・セキュリティ会社のIslandが2026年10月6日、ChatGPT、Gemini、Claude、Perplexity、Manus、Meta Museの「広告向けAIツール」を装い、広告アカウントを乗っ取る詐欺サイトの調査を公開した
・「Connect(つなぐ)」ボタンを押すと、本物そっくりのGoogleのログイン画面がページの中に描かれ、パスワードと、2段階認証の確認コードまで盗まれる。裏では人が画面を見ながら操作していた
・狙われるのは、広告アカウントを管理する人。乗っ取られると、登録された支払い方法や予算で勝手に広告を出されたり、アカウントを売られたりするおそれがある
セキュリティ会社のIslandは2026年10月6日、AIのツールを装った詐欺サイトについての調査を公開しました。
詐欺サイトは、ChatGPTやClaudeなどの「広告の運用を手伝うAIツール」を名乗り、広告アカウントのつなぎ込みを求めてきます。中身は、広告アカウントを乗っ取るための、手の込んだ仕掛けでした。
この記事では、Islandの調査で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
ChatGPTやClaudeなど6つのAIの「広告ツール」を装っていた
まずは、どんなAIを装っていたのかを見ていきます。
Islandの調査によると、詐欺サイトは、AIごとに次のような「広告向けの新しいツール」をうたっていました。
| 装っていたAI | うたっていた内容 |
|---|---|
| ChatGPT | 毎週のGoogle広告の報告 |
| Gemini | 複数の広告アカウントをまとめて管理する機能 |
| Claude | 広告の管理画面 |
| Perplexity | 広告の計画と、使ったお金の点検 |
| Manus | Metaとの非公開のつなぎ込み |
| Meta Muse | 「Muse Ads」という広告ツール |
Meta Museは、Metaが2026年9月8日に発表したAIエージェントです。9月29日には、本物のMuseにも、広告アカウントにつなげる事業者向けの機能が加わりました(Muse for Small Businessの記事)。Islandによると、Museの発表のわずか8日後には、偽の「Muse Ads」のページが作られていました。新しいAIが話題になると、すぐにその名前が詐欺に使われることが分かります。
「つなぐ」を押すと、ページの中に偽のログイン画面が描かれる
次に、だましの手口です。
Islandの調査によると、流れは次のとおりです。
・サイトには、ほぼ「Connect(つなぐ)」ボタンしかない
・ボタンを押すと、Googleのログインの小窓が開いたように見える。実際は、ページの中に描かれた偽の小窓で、アドレス欄にも「accounts.google.com」と本物の住所が表示される
・パスワードは3回まで入力させ、すべて記録する
・裏では人が見ていて、相手に合わせて、SMSの確認コード、認証アプリのコード、スマートフォンへの承認の通知などを、次々に求める
Islandは、この手口を「ブラウザの中のブラウザ」と呼んでいます。Googleのほか、Meta、TikTok、会社向けのログインサービスのOktaの画面も用意されていました。パソコンとスマートフォンのどちらでも、それらしく見えるように作られていたとしています。
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狙いは広告アカウント。支払い方法と予算がそのまま使われる
ここで、なぜ広告アカウントが狙われるのかを見ておきます。
Islandは、広告アカウントには、次のものがそろっていると指摘しています。
・登録された支払い方法
・承認ずみの広告の予算
・取引先から預かっている、ほかの広告アカウントへの入り口
乗っ取った人は、その予算で勝手に広告を出したり、アカウントを売ったりします。本来の持ち主は、権限を下げられて、何週間から何か月も取り戻せないことがあるとしています。Islandは、調べた範囲で「数百件」の入力が送られていたと書いています。
同じ仕組みは、求人や返金の案内を装った詐欺にも使われていました。
仕事はどう変わるか:AIツールへの「つなぎ込み」は、アカウントを渡すことと同じだと考える
ここからは、Islandの調査をもとにした僕の見方です。
今回の手口で変わるのは、新しいAIツールの「試し方」だと考えています。
AIの新しいツールは、毎週のように出てきます。「広告をAIで自動で改善」「無料で点検」とうたわれると、まずはつないで試してみたくなります。ところが、今回のように、ログイン画面のアドレス欄まで本物そっくりに描かれてしまうと、見た目だけでは見分けられません。
Islandは、知らないAIのつなぎ込みや試験提供の案内は「アカウントへの入り口を求められている」と考えるよう勧めています。
自分でGoogle広告やMetaの広告を出している個人事業主ほど、広告アカウントには支払い方法がつながっています。被害は、取引先のアカウントにまで広がるおそれがあります。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・新しいAIツールは、検索や広告からではなく、その会社の公式サイトから入って、本当にあるツールかを確かめる
・ログインの小窓が出たら、ページの外に動かせるかを試す。ページの中に描かれた偽の小窓は、ブラウザの外に動かせない
・ログインには、パスキーなど、本物のサイトでしか使えない方法を使うと、こうした手口を防ぎやすい
・入力してしまったら、すぐにパスワードを変え、広告アカウントに知らない管理者が増えていないか、支払いや予算が変わっていないかを確かめる
まとめ:ChatGPTやClaudeの広告ツールを装う詐欺が見つかる。知らないAIへのつなぎ込みは、まず公式で確かめる
セキュリティ会社のIslandは、ChatGPT、Gemini、Claudeなど6つのAIの「広告ツール」を装い、広告アカウントのパスワードと確認コードを盗む詐欺サイトを報告しました。ページの中に描いた偽のログイン画面で、2段階認証まで突破しようとしていました。
新しいAIツールにアカウントをつなぐことが、アカウントそのものを渡すことになりうる、というのがいちばん大きな学びです。
知らないAIツールから「つなぐ」を求められたら、押す前に、その会社の公式サイトで本当にあるツールかを確かめるのがよさそうです。
出典
・Island「Behind the Connect Button: The Fake AI Ads Campaign」(2026年10月6日) https://www.island.io/blog/behind-the-connect-button-the-fake-ai-ads-campaign
・BleepingComputer「Fake ChatGPT, Gemini sites steal advertising accounts, MFA codes」(2026年10月6日) https://www.bleepingcomputer.com/news/security/fake-chatgpt-gemini-sites-steal-advertising-accounts-mfa-codes/
