上場企業の6割が「人手不足」をリスクに挙げるが、対策にAIを書いたのはその7%。3,817社の有価証券報告書をAIで読んだ調査
・AIの導入を手がけるゴムマリが2026年10月18日、上場企業3,817社の有価証券報告書をAIで読み、人手不足とAIの書かれ方を数えた調査を公表した
・人手不足・人材の確保をリスクに挙げた会社は2,315社(60.6%)。そのうち、対策としてAIの活用を書いた会社は164社(7.1%)だった。AI以外の自動化まで含めても412社(17.8%)
・人手不足を挙げた割合は従業員300人未満の会社が66.6%と最も高い一方、対策にAIを書いた割合は300人未満が5.3%で、5,000人以上(10.5%)の約半分だった
AIの導入を手がけるゴムマリは2026年10月18日、上場企業の有価証券報告書をAIで読み、人手不足とAIの活用がどう書かれているかを数えた調査を公表しました。
有価証券報告書は、上場企業が毎年出す、事業や経営の状態をまとめた公式の書類です。その中の「事業等のリスク」には、会社が自分で考える経営の危険が書かれています。今回の調査は、人手不足を危険と書いた会社が、その対策にAIを挙げているかを、3,817社分まとめて調べたものです。
この記事では、調査で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
6割が人手不足をリスクに。対策にAIを書いたのは7%
まずは、全体の結果を見ていきます。
| 項目 | 会社の数 |
|---|---|
| 調べた上場企業 | 3,817社 |
| 人手不足・人材の確保をリスクに挙げた | 2,315社(60.6%) |
| そのうち、対策にAI以外も含む自動化・省人化を書いた | 412社(17.8%) |
| そのうち、対策にAIの活用を書いた | 164社(7.1%) |
人手不足をリスクに挙げた会社のうち、自社の人手が足りないことを書いた会社が2,272社、取引先や業界の人手不足が自社に及ぶことだけを書いた会社が43社でした。
小さな会社ほど人手不足を書き、大きな会社ほどAIを書く
次に、会社の大きさでの違いです。
| 従業員の数 | 人手不足をリスクに挙げた割合 | そのうち対策にAIを書いた割合 |
|---|---|---|
| 300人未満 | 66.6% | 5.3% |
| 300〜999人 | 59.9% | 6.4% |
| 1,000〜4,999人 | 54.2% | 8.3% |
| 5,000人以上 | 61.1% | 10.5% |
業種では、人手不足を挙げた割合が高いのは、情報・通信業(82.7%)とサービス業(77.7%)でした。AI以外も含む自動化・省人化を対策に書いた割合は、建設業(35.4%)と食料品(33.8%)で高くなっています。
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書かれていた対策の例
ここで、対策としてAIを書いた会社の記載の例を見ておきます。調査では、社名を伏せて次のような記載を紹介しています。
・間接業務で、生成AIなどのデジタルの活用で生産性を上げる取り組みを始めた(非鉄金属)
・決算を自動で進めるAIを入れ、経理の部門が経営を支える仕事に力を注げるようにする(医薬品)
・AIの画像の分析を使った自動の検品や、生産の予定の最適化で、労働力の不足に対応する(その他製品)
調べ方:EDINETの書類を、AIで判定して数えた
最後に、調査のしかたです。
・元のデータは、金融庁の電子開示のしくみ(EDINET)に、2025年10月1日〜2026年10月8日に出された有価証券報告書のうち、各社の最新の1件
・「事業等のリスク」と「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」から、関係する言葉を含む文を抜き出し、AIで当てはまるかを判定した
・判定の正しさを確かめるため、別のAIで判定し直し、食い違った文のうち結果に関わるものは、会社が全文を読んで決めた
・関係する言葉を含まない言い回しの記載は数えていないため、割合は実際より低めに出ている可能性がある
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仕事はどう変わるか:人手不足の対策として、AIは「これから書かれる」段階にある
ここからは、調査をもとにした僕の見方です。
今回の調査で見えてきたのは、人手不足とAIの「距離」だと考えています。
人手不足は、上場企業の6割が経営の危険として書くほど、どこでも大きな課題になっています。それなのに、その対策としてAIを書いた会社は1割にも届きませんでした。調査をした会社が書いているとおり、書いていないからといって使っていないとは限りません。ただ、少なくとも、会社の公式の書類で「AIで人手不足に対応する」と言い切る段階には、まだ多くの会社が来ていないことが分かります。
とくに、人手不足を最も強く感じている小さな会社ほど、AIを対策に書く割合が低いという結果は、人が足りない会社ほど、新しいしくみを入れる人も足りない、という現実を映しているように見えます。
1人で仕事を回している個人事業主にとっても、まずは毎月くり返す1つの作業を、AIに任せられないか考えてみるのが、人手不足に備える現実的な一歩になりそうです。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・この調査は、AIの導入の仕事をしている会社が、自社で行ったもの
・数えたのは、有価証券報告書に「書かれていたか」。実際にAIを使っているかどうかではない
・判定にはAIを使っている。関係する言葉を含まない書き方は数えられていない
まとめ:上場企業の6割が人手不足をリスクに。対策にAIを書いたのはその7%
ゴムマリの調査によると、上場企業3,817社のうち6割が人手不足をリスクに挙げた一方、その対策にAIの活用を書いたのは7.1%でした。人手不足を最も多く書いた小さな会社ほど、AIを対策に書く割合は低くなっています。
人手不足の対策としてのAIは、多くの会社にとって、まだ「これから書かれる」段階にある、というのがいちばん大きな学びです。
人手が足りないと感じている人は、まず1つの決まった作業からAIに任せてみるのがよさそうです。
出典
・ゴムマリ「上場3,817社の有価証券報告書をAIで分析、人手不足・人材確保をリスクに挙げたのは60.6%、そのうち対策にAIの活用を書いたのは7.1%」(2026年10月18日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000185093.html
・ゴムマリ 詳細レポート https://gomumari.com/knowledge/yuho-hitodebusoku-ai-2026/
