AIの「ハルシネーション」とは?もっともらしいうそが起きる場面と、仕事で使うときの確かめ方
・ハルシネーションとは、AIが事実と違うことを、もっともらしく答えてしまうこと。「幻覚」という意味の英語から来ている
・最新のモデルでも、なくなってはいない。OpenAIは、わざと難しくした質問で、新しいモデルの回答の約4%に事実の誤りが含まれたと公表している
・名前・日付・数字・出典は特に確かめる。各社もヘルプで「使う前に確認して」と書いている
AIに質問すると、すらすらと自信のある答えが返ってきます。ところが、その中に、実在しない数字や、存在しない資料の名前が混じっていることがあります。
こうした「もっともらしいうそ」は、ハルシネーションと呼ばれます。この記事では、各社の公式の情報をもとに、ハルシネーションとは何かを整理したうえで、ふだんの仕事でAIを使うときの確かめ方を考えます。
ハルシネーションは「事実と違うことを、もっともらしく答える」こと
まずは、ハルシネーションとは何かを見ていきます。
ハルシネーションは、英語で「幻覚」を意味する言葉です。AIが、事実と違う内容や、存在しないものを、本当のことのように答えてしまう現象を指します。
AIは、文章のつながりとして自然な言葉を選んで答えを作ります。そのため、知らないことや、あいまいなことを聞かれても、「分かりません」ではなく、それらしい答えを作ってしまうことがあります。
しかも、間違った答えも、正しい答えと同じように自然な文章で返ってくるため、読む側が気づきにくいのが厄介なところです。
最新のモデルでも、誤りはなくなっていない
次に、今のAIでどれくらい起きるのかです。
OpenAIは、9月29日に発表した「GPT-6.1 Sol」について、次の数字を公表しています(詳しくはGPT-6.1 Solの記事で紹介しました)。
・わざと難しくした質問で、事実の誤りを1つ以上含む回答の割合は、前のモデルの4.5%から4.1%に下がった
・最上位のGPT-6 Astraでも4.0%
OpenAIは、これらはわざと誤りを誘う質問で測ったもので、ふだんの使い方では誤りはもっと少ないと説明しています。それでも、最新のモデルでも、誤りがゼロにはなっていないことが分かります。
各社のヘルプにも、確かめるよう呼びかける文があります。
・OpenAI(ChatGPT Space):ページを使ったり共有したりする前に、名前・日付・計算・出典を確認してください(ChatGPT Spaceの記事)
・OpenAI(dots):dotは間違えることもあるため、重要な影響を伴う作業は必ず確認してください(dotsの記事)
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起きやすいのは「数字・固有名詞・出典・最新の情報」
では、どんな場面で起きやすいのでしょうか。
OpenAIの注意書きにある「名前・日付・計算・出典」を中心に整理すると、特に確かめたいのは次のような部分です。
| 起きやすいもの | 例 |
|---|---|
| 数字 | 料金、割合、日付、人数 |
| 固有名詞 | 会社名、商品名、人の名前、法律の名前 |
| 出典 | 存在しない論文やWebページを「出典」として挙げる |
| 最新の情報 | AIが学習した時期より後に変わった料金や制度 |
| 計算 | 合計や割合の計算 |
仕事はどう変わるか:AIは「下書き係」、確かめるのは自分
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
ハルシネーションを知ると変わるのは、AIとの「役割分担」だと考えています。
AIは、たたき台を速く作るのが得意です。一方で、その中身が正しいかを最後に保証してくれるわけではありません。AIを「下書き係」と考え、事実を確かめて仕上げるのは自分、と分担を決めておくと、速さと正確さを両立できます。
特に、数字や名前、出典は、AIの答えをそのまま使わず、元の資料や公式のページで1つずつ確かめるのが基本です。
取引先に出す資料や見積もりを1人で作っている個人事業主ほど、1つの誤りが信用に直結します。AIで時間を短縮したぶん、確かめる時間を必ず残しておきたいところです。
使う前に、確かめておきたいこともあります。
・AIの答えに出てきた数字・名前・日付は、元の資料や公式のページで確かめる
・AIが挙げた出典は、実際にそのページや資料が存在するかを開いて見る
・最新の料金や制度は、AIに聞くより、各社の公式ページを直接見る
・AIに「分からないときは分からないと言って」「出典を示して」と頼むと、確かめやすくなる
まとめ:ハルシネーションは最新のAIでも起きる。数字・名前・出典は自分で確かめる
ハルシネーションは、AIが事実と違うことをもっともらしく答えてしまう現象です。最新のモデルでも誤りはゼロになっておらず、各社も確認を呼びかけています。
AIを下書き係と考え、事実を確かめて仕上げるのは自分、という役割分担が、AIを仕事で安全に使う基本です。
まずは、AIの答えに出てきた数字と名前を、元の資料で確かめる習慣から始めるのがよさそうです。
出典
・OpenAI「GPT-6.1 Sol のご紹介」 https://openai.com/ja-JP/index/introducing-gpt-6-1-sol/
・OpenAI ヘルプセンター「ChatGPT Space 入門」 https://help.openai.com/ja-jp/articles/20001549-getting-started-with-space-in-chatgpt
・OpenAI ヘルプセンター「dot スタートガイド」 https://help.openai.com/ja-jp/articles/20001530-getting-started-with-your-dot
