仕事が不安でたまらないとき「今うまくいっていること」を3つ数えれば落ち着ける!ローマの哲学者の対策を紹介
仕事のことが、不安でたまらない。
何か大きな失敗をするのではないか、今の立場を失うのではないかと、理由もはっきりしないまま、毎日そわそわしている。
そんなふうに、仕事への不安で落ち着かない日が続くことはありませんか?
仕事が不安でたまらないときは、「今うまくいっていること」を3つ数えることで、気持ちが落ち着きます。
なぜなら、仕事への不安の多くは、まだ起きていない先のことばかりを見て、今ちゃんとできていることが目に入らなくなっているから。
実はこの考え方、約2000年前のローマの哲学者セネカが、友人に宛てた手紙に書き残したもの。
セネカは、先のことを恐れてばかりいると、今手にしている良いものまで失ってしまう、と書いていました。
その言葉が、仕事への不安を落ち着かせるための大きなヒントになります。
この記事を読むとわかること
- 仕事のことが不安でたまらなくなる理由
- ローマの哲学者セネカが書いた「先を恐れると、今を失う」という考え方
- 「今うまくいっていること」を数えて、不安を落ち着かせる方法
この記事を読めば、不安な気持ちに飲み込まれず、目の前の仕事に落ち着いて向き合えるようになります。
仕事が不安でたまらないのは、先のことばかりを見て今が目に入らなくなっているから

仕事に不安を感じるのは、仕事を大切に思っているからです。
どうでもいいことなら、不安になることもありません。
ただ、不安でたまらないほどになるときは、気持ちがずっと先のほうを向いています。
まだ起きていないことばかりを見ているので、今ちゃんとできていることが、目に入らなくなっているのです。
ここでは、仕事のことが不安でたまらなくなる理由を見ていきます。
不安は、まだ起きていないことから生まれる
仕事の不安を1つずつ見てみると、その多くは、まだ起きていないことです。
・この仕事を、期限までに終えられなかったらどうしよう
・上司に、評価を下げられたらどうしよう
・今の仕事を、続けられなくなったらどうしよう
どれも「〜たらどうしよう」という形をしています。
起きるかどうかわからないことを、起きたことのように感じてしまうのが、不安の正体です。
不安なときほど、うまくいっていることが見えなくなる
不安でたまらないとき、頭の中は心配ごとでいっぱいになります。
・今日も、仕事はちゃんと終わっている
・頼まれたことは、期限までに出せている
・お客さんや同僚との関係も、こわれてはいない
本当は、うまくいっていることがたくさんあります。
でも、不安が大きくなると、そうしたことが、まるで見えなくなってしまうのです。
では、不安でたまらない気持ちを、どう落ち着かせればいいのか。
そのヒントを、約2000年前のローマの哲学者セネカが、友人への手紙に書き残しています。
セネカに学ぶ|先のことを恐れてばかりいると、今ある良いものまで失ってしまう

セネカは、約2000年前のローマで活躍した哲学者です。
皇帝ネロの教育係を務めたことでも知られています。
そのセネカが、晩年に友人ルキリウスに宛てて書いた手紙が、『倫理書簡集』としてまとめられています。
その中に、先のことを恐れる心について書かれた手紙があります。
ここでは、セネカが友人に伝えた、不安との向き合い方を紹介します。
「先のことを恐れ、つらくなる前からつらがっている心は痛ましい」
セネカは、第98書簡の中で、こう書いています(訳は筆者によるもの)。
> 先のことを恐れ、つらくなる前からつらがっている心は、痛ましいものだ。そのような心は、決して休まることがない。
まだ起きていないことを恐れている心は、休むときがありません。
1つの心配が消えても、すぐに次の心配を見つけてしまうからです。
「未来を待つあいだに、今の恵みを失ってしまう」
セネカは、同じ箇所で、こう続けています(訳は筆者によるもの)。
> そのような心は、未来を待つあいだに、今楽しめるはずの恵みを失ってしまう。失ったものを嘆くことと、失うのを恐れることのあいだに、違いはないのだ。
失うことを恐れているあいだ、私たちは、まだ失っていないものを味わえていません。
それは、もう失ってしまったのと、変わらないというのです。
仕事もまた、同じです。
うまくいかなくなることを恐れているあいだ、今うまくいっていることを、少しも味わえていないのです。
ここからは、セネカの考え方を、仕事が不安でたまらないときに使える手順にして紹介していきます。
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仕事が不安でたまらないとき「今うまくいっていること」を3つ数えれば落ち着ける

不安を落ち着かせるために必要なのは、不安を消そうと頑張ることではありません。
先に向いている気持ちを、今に戻してあげることです。
今うまくいっていることに目を向ければ、不安でいっぱいだった頭に、少しずつゆとりが戻ってきます。
それでは、4つの手順に分けて紹介します。
手順1:不安になったら、まず手を止めて息を吐く
不安が大きくなってきたら、まず手を止めて、ゆっくり息を吐きます。
・椅子に深く座り直す
・口からゆっくり、長く息を吐く
・それを3回繰り返す
不安なときは、息が浅く、速くなっています。
息を整えるだけで、気持ちが今に戻りやすくなります。
手順2:「今うまくいっていること」を3つ数える
次に、今うまくいっていることを3つ数えます。
・今日の午前中の仕事は、予定どおり終わった
・昨日出した資料に、問題はなかった
・となりの席の人と、ふつうにあいさつができた
大きなことでなくてかまいません。
「問題なく進んでいること」を3つ見つけて、できれば紙に書きます。
手順3:不安を1つだけ選び、「今日できること」を決める
次に、頭の中の不安から1つだけ選び、それについて今日できることを決めます。
・期限に間に合うか不安 → 今日は、最初の1ページだけ仕上げる
・評価が下がるのが不安 → 今日の報告を、いつもより少し丁寧にする
・仕事を続けられるか不安 → 今日は、定時で帰ってしっかり休む
不安をすべて片づけようとしなくてかまいません。
1つ選んで、今日できることをすれば、それで十分です。
手順4:1日の終わりに、もう一度3つ数える
1日の終わりに、もう一度、今日うまくいったことを3つ数えます。
・朝の不安をよそに、今日の仕事は終わった
・手順3で決めたことを、やることができた
・思っていたような悪いことは、何も起きなかった
朝に心配していたことの多くは、起きないまま1日が終わります。
それを毎日確かめることで、不安に振り回されにくい心が育っていくのです。
不安な気持ちとうまく付き合うための、ローマ皇帝の考え方

今うまくいっていることを数えても、不安がまた戻ってくることはあります。
不安は、一度で消えるものではありません。
約1850年前のローマ皇帝マルクス・アウレリウスも、同じように、先のことを思い悩む自分に言い聞かせる言葉を残しています。
ここでは、不安な気持ちとうまく付き合うための、皇帝の考え方を紹介します。
「自分を苦しめるのは、未来でも過去でもなく、今だけだ」
マルクス・アウレリウスは、『自省録』第8巻に、こう書いています(訳は筆者によるもの)。
> 自分を苦しめるのは、未来でも過去でもなく、今だけだ。そして今は、区切ってしまえば、ほんのわずかなものになる。
先のことは、まだ自分のところに来ていません。
自分が向き合えばいいのは、今、目の前にあることだけです。
不安が戻ってきたら、また息を吐いて、今うまくいっていることを数える。
その繰り返しでいいのです。
不安をなくそうとするのではなく、不安が来るたびに、今に戻る。
それが、不安な気持ちとうまく付き合っていく方法なのです。
まとめ:仕事が不安でたまらないときは「今うまくいっていること」を3つ数えてみよう!

最後に、この記事のポイントをまとめます。
仕事が不安でたまらないのは、先のことばかりを見て今が目に入らなくなっているから
不安の多くは、「〜たらどうしよう」という、まだ起きていないことから生まれます。
不安なときほど、うまくいっていることが見えなくなってしまいます。
セネカは「未来を待つあいだに、今の恵みを失ってしまう」と書いた
先のことを恐れている心は、決して休まることがない。
失うのを恐れることは、もう失ったのと変わらない、とセネカは書いています。
息を吐き、今うまくいっていることを3つ数えて、不安を1つだけ選んで今日できることをする
不安になったら、まず手を止めて息を吐く。
今うまくいっていることを3つ数える。
不安を1つだけ選び、今日できることを決める。
1日の終わりに、もう一度3つ数える。
仕事が不安になるのは、それだけ仕事を大切に思っているからです。
あなたが、不安に飲み込まれることなく、落ち着いて今日の仕事に向き合えることを、心から応援しています。
同じように仕事に悩むときに役立つ記事です。


セネカの手紙を読んでみたいあなたへ
この記事で紹介した言葉は、セネカが友人ルキリウスに宛てた手紙(『倫理書簡集』)に収められています。
日本語訳は、訳者の違う2冊があります。
参考文献
- セネカ『倫理書簡集』第98書簡 第6節(英訳:Richard Mott Gummere 訳、Wikisource https://en.wikisource.org/wiki/Moral_letters_to_Lucilius/Letter_98)
- マルクス・アウレリウス『自省録』第8巻第36節(英訳:George Long 訳、The Internet Classics Archive https://classics.mit.edu/Antoninus/meditations.html)
