お金があるのに不安なとき「これで十分という額」を決めれば安心できる!ローマの哲学者の対策を紹介
貯金は、それなりにある。
それなのに、この先のことを考えると落ち着かず、いくらあっても足りない気がして、お金を使うたびに不安になる。
そんなふうに、お金があるのに不安が消えないことはありませんか?
お金があるのに不安なときは、自分にとって「これで十分という額」を決めることで、安心できます。
なぜなら、お金があっても不安が消えないのは、お金が足りないからではなく、どこまであれば足りるのかを決めていないから。
実はこの考え方、約2000年前のローマの哲学者セネカが、友人に宛てた手紙に書き残したもの。
セネカは、「たくさん」を持つ人はさらに欲しがるが、「十分」を持つ人は止まるところを手にしている、と書いていました。
その言葉が、お金があるのに消えない不安をほどく大きなヒントになります。
この記事を読むとわかること
- お金があるのに、不安が消えない理由
- ローマの哲学者セネカが書いた「たくさん」と「十分」の違い
- 「これで十分という額」を決めて、安心して暮らす方法
この記事を読めば、お金の額に振り回されず、今あるお金で安心して暮らせるようになります。
お金があるのに不安なのは、どこまであれば足りるのかを決めていないから

お金があるのに不安を感じるのは、将来のことを真剣に考えているからです。
先のことに備えようとする気持ちは、大切なものです。
ただ、お金が増えても不安が消えないときは、お金の額に原因があるのではありません。
「いくらあれば安心か」という線を決めていないので、どれだけ増えても、足りているかどうかがわからないのです。
ここでは、お金があるのに、不安が消えない理由を見ていきます。
目標の額に届くと、次の不安が出てくる
お金をためてきた人の多くは、こんな経験をしています。
・100万円たまれば安心だと思っていたが、たまったら300万円ないと不安になった
・老後に必要な額を聞くたびに、目標が上がっていく
・収入が増えても、気持ちの余裕は増えていない
目標に届いたとたん、その先の目標が現れます。
「もっとあれば安心」という考え方をしているかぎり、安心できる日はやってこないのです。
持っているものが増えるほど、失う怖さも大きくなる
お金が増えると、別の不安も生まれてきます。
・物価が上がって、お金の価値が減ってしまうのではないか
・病気や災害で、一気になくなってしまうのではないか
・使ったら減ってしまうから、使うのが怖い
持っているものが多いほど、失うことへの怖さは大きくなります。
お金を持つことで、かえって心配ごとが増えてしまうのです。
では、お金があるのに消えない不安と、どう向き合えばいいのか。
そのヒントを、約2000年前のローマの哲学者セネカが、友人への手紙に書き残しています。
セネカに学ぶ|「たくさん」を持つ人ではなく「十分」を持つ人が、安心を手にしている

セネカは、約2000年前のローマで活躍した哲学者です。
皇帝ネロの教育係を務め、ローマでも指折りの財産を持っていたことで知られています。
そのセネカが、晩年に友人ルキリウスに宛てて書いた手紙が、『倫理書簡集』としてまとめられています。
大きな財産を持っていたセネカだからこそ、お金と安心の関係を、深く考えていました。
ここでは、セネカが友人に伝えた、お金と安心についての言葉を紹介します。
「たくさん持ちたいか、十分に持ちたいか」
セネカは、第119書簡の中で、友人にこう問いかけています(訳は筆者によるもの)。
> あなたは、たくさん持ちたいのか、それとも十分に持ちたいのか。たくさん持つ人は、さらに欲しがる。それは、まだ十分を手に入れていない証拠だ。けれども、十分を持つ人は、豊かな人が決して手に入れられなかったものを手にしている。それは、止まるところだ。
「たくさん」には、上限がありません。
どれだけ持っても、もっと上があります。
でも、「十分」には、ここまでという線があります。
その線に届いた人は、もうそれ以上を追いかけなくていい。
セネカは、その「止まるところ」こそが、本当の豊かさだと言うのです。
「失うのを恐れることは、失ったのと変わらない」
セネカは、別の手紙(第98書簡)で、持っているものを失う怖さについても書いています(訳は筆者によるもの)。
> 失ったものを嘆くことと、失うのを恐れることのあいだに、違いはない。
持っているお金を失うことばかり恐れていると、そのお金がもたらしてくれるはずの安心を、少しも味わえません。
それは、もう失ってしまったのと、変わらないというのです。
お金は、安心して暮らすためにあるもの。
不安の種にしてしまっては、せっかくのお金が生きてきません。
ここからは、セネカの考え方を、お金があるのに不安なときに使える手順にして紹介していきます。
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お金があるのに不安なとき「これで十分という額」を決めれば安心できる

お金があるのに消えない不安を小さくするために必要なのは、さらにお金を増やすことではありません。
自分にとって「これで十分」という額を、自分で決めることです。
十分の線が決まれば、その線を超えている分は、安心して使ったり、楽しんだりできるようになります。
それでは、4つの手順に分けて紹介します。
手順1:何が不安なのかを、具体的に書き出す
まず、お金について何が不安なのかを、具体的に書き出します。
・老後の生活費が、足りなくなるのではないか
・大きな病気をしたときに、払えないのではないか
・子どもの進学に、十分なお金を出せないのではないか
「なんとなく不安」のままだと、どれだけお金があっても安心できません。
不安を具体的にすると、それぞれに必要な額を考えられるようになります。
手順2:それぞれの不安に「いくらあれば足りるか」を書く
次に、書き出した不安の1つひとつに、いくらあれば足りるかを書きます。
・急な出費への備え → 生活費の半年分
・子どもの進学 → 必要な学費の見込み額
・老後の生活 → 年金の見込みと、毎月の暮らしの差額の分
細かい数字がわからないところは、だいたいの額でかまいません。
年金の見込みは、毎年届く「ねんきん定期便」で確かめられます。
調べてもわからない部分は、お金の専門家に相談するのも1つの方法です。
手順3:合計して「これで十分という額」を決める
書いた額を合計して、自分にとっての「これで十分という額」を決めます。
・急な出費への備え:〇〇万円
・進学の費用:〇〇万円
・老後の備え:〇〇万円
・合計:〇〇万円 → これが、自分の「十分」
セネカの言う「止まるところ」を、自分の数字で決めるのです。
今の貯金がこの額に届いていれば、もう足りています。
届いていなければ、あといくらかがわかるので、やみくもに不安になることはなくなります。
手順4:「十分」を超えた分の使い道を決める
最後に、十分の額を超えた分や、毎月の余りの使い道を決めます。
・家族との旅行に使う
・自分の学びや楽しみに使う
・大切な人や、応援したい活動のために使う
十分を超えた分は、不安のために抱えておく必要のないお金です。
今の暮らしを豊かにするために、安心して使っていいお金なのです。
お金を抱えこまないための、老子の考え方

「これで十分という額」を決めても、もっと持っていたほうがいいのでは、という気持ちが戻ってくることがあります。
そんなときに思い出したい言葉が、約2500年前の中国の古典『老子』にあります。
『老子』は、ものを持ちすぎることの危うさを、短い言葉で語っています。
ここでは、お金を抱えこまないための、『老子』の考え方を紹介します。
「金玉堂に満つれば、之を能く守る莫し」
『老子』第9章には、こう書かれています。
> 持して之を盈たすは、其の已むに如かず。金玉堂に満つれば、之を能く守る莫し。
器をいっぱいに満たして持ち続けるよりは、ほどほどでやめておくほうがいい。
金や宝石が家じゅうに満ちていれば、それを守りきることはできない、という意味です。
持つものが増えれば増えるほど、それを守るための心配も増えていきます。
ほどほどのところで止めておくことが、いちばん心穏やかでいられる道だ、と『老子』は説いているのです。
「これで十分」と決めることは、あきらめることではありません。
心配ごとを増やさずに、今あるものを味わって暮らすための、知恵なのです。
まとめ:お金があるのに不安なときは「これで十分という額」を決めてみよう!

最後に、この記事のポイントをまとめます。
お金があるのに不安なのは、どこまであれば足りるのかを決めていないから
目標の額に届くと、その先の目標が現れて、また不安になります。
持っているものが増えるほど、失う怖さも大きくなってしまいます。
セネカは「十分を持つ人は、止まるところを手にしている」と書いた
「たくさん」には上限がないが、「十分」にはここまでという線がある。
失うのを恐れることは、失ったのと変わらない、ともセネカは書いています。
不安を書き出し、いくらあれば足りるかを書いて、「これで十分という額」を決める
何が不安なのかを、具体的に書き出す。
それぞれの不安に、いくらあれば足りるかを書く。
合計して、「これで十分という額」を決める。
「十分」を超えた分の使い道を決める。
お金は、安心して暮らすためにあるものです。
あなたが、自分にとっての「十分」を見つけて、今あるお金で心穏やかに暮らせることを、心から応援しています。
同じようにお金に悩むときに役立つ記事です。


セネカの手紙を読んでみたいあなたへ
この記事で紹介した言葉は、セネカが友人ルキリウスに宛てた手紙(『倫理書簡集』)に収められています。
日本語訳は、訳者の違う2冊があります。
参考文献
- セネカ『倫理書簡集』第119書簡 第6節、第98書簡 第6節(英訳:Richard Mott Gummere 訳、Wikisource https://en.wikisource.org/wiki/Moral_letters_to_Lucilius/Letter_119)
- 『老子』第9章「持而盈之,不如其已……金玉滿堂,莫之能守」(原文:Wikisource「道德經 (王弼本)」https://zh.wikisource.org/wiki/道德經_(王弼本))
