AIを入れた会社の約7割が、解決したい仕事の課題を決めないまま導入。課題を決めていた会社は7割が成果を感じ、決めていなかった会社は3割台にとどまる
・システム開発のEngineerforceが2026年10月23日、AIの導入に関わる217人への調査の結果を発表した。具体的な仕事の課題を決めてからAIを入れた会社は28.1%で、約7割は課題がはっきりしないまま導入していた
・課題がはっきりしていた会社では72.1%が「十分以上の成果」を感じていたのに対し、はっきりしていなかった会社は34.0%だった。「AIを入れることを先に決めた」会社は、73.5%が期待に届いていなかった
・53.5%が「AIを使うこと自体が目的になっている」と感じたことがあると答えた。今後ほしい支援は「社員向けのAIの研修」(43.8%)と「導入前の課題の明確化」(42.4%)が多かった
Engineerforceは2026年10月23日、「業務におけるAI導入・活用の実態調査」の結果を発表しました。
会社でAIを入れる話は、「上から入れるように言われた」「まず入れてから使い道を考える」という形で始まることが少なくありません。今回の調査では、導入の前に「何を解決するか」を決めていたかどうかで、成果の感じ方に2倍以上の差が出ました。
この記事では、Engineerforceの調査で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
調査のあらまし
まずは、調査の対象です。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 対象 | 会社や組織でAI・生成AIの導入や活用に関わっている217人 |
| 方法 | インターネットでのアンケート |
| 時期 | 2026年10月7日〜13日 |
| 回答者の立場 | 現場の担当者が47.5%で最も多く、推進の担当や経営層も含む |
回答者の会社では、「全社で導入」が34.1%、「一部の部署で導入」が32.3%でした。
具体的な課題を決めてから入れた会社は28.1%
次に、導入の前の準備です。
AIを入れる前に、仕事の課題をどこまではっきりさせていたかを聞いた結果は次のとおりです。
・具体的な仕事の課題を決めていた会社は、数値の目標まで決めていた会社(2.8%)を含めて28.1%
・最も多かったのは「大まかな目的はあったが、対象の仕事までは決まっていなかった」の37.8%
・「AIを入れることを先に決め、使い道は後から考えた」と「はっきりした課題や目的は決まっていなかった」が、それぞれ15.7%
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課題をはっきりさせていたかで、成果の感じ方に2倍以上の差
ここで、成果との関係を見ておきます。
| 導入前の課題の決め方 | 十分以上の成果を感じている | 期待に届いていない |
|---|---|---|
| はっきりしていた会社 | 72.1% | 27.9% |
| はっきりしていなかった会社 | 34.0% | 63.3% |
| うち「AIを入れることを先に決めた」会社 | 23.5% | 73.5% |
また、53.5%が「AIを使うこと自体が目的になっている」と感じたことがあると答えました。そう感じた場面で最も多かったのは、「まずAIを使うという前提で、仕事の改善の検討が始まったとき」(51.7%)でした。
仕事はどう変わるか:AIの導入は「何を入れるか」より「何を解決するか」から始まる
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回の調査で見えてきたのは、AIの導入の「順番」の大切さだと考えています。
AIの道具は毎週のように新しくなり、「これを入れれば何とかなる」と思いやすい状況です。ただ、調査の結果は、道具を先に選んだ会社ほど成果を感じにくいことを示しています。たとえば「問い合わせへの返信に毎日2時間かかっている」のように、困っている仕事と、どれだけ減らしたいかを先に決めておけば、合う道具も選びやすく、効果も測れます。
1人で仕事を回している個人事業主にとっても同じです。新しいAIを試す前に、いちばん時間を取られている作業を1つ書き出しておくと、その道具が自分に役立つかを早く見分けられます。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・回答したのは217人で、大きな調査ではない。数字は目安として見る
・調査したEngineerforceは、AIの開発を支援する会社。発表の終わりで自社の支援を案内している
・「成果」は、回答者がどう感じているかを聞いたもの。売上や時間の削減を測った数字ではない
まとめ:AIを入れた会社の約7割が、課題を決めないまま導入。成果を分けたのは導入前の準備
Engineerforceの調査では、AIを入れた会社の約7割が、具体的な仕事の課題を決めないまま導入していました。課題がはっきりしていた会社は72.1%が成果を感じ、はっきりしていなかった会社は34.0%にとどまりました。
AIの成果を左右するのは、どの道具を入れたかより、何を解決するかを先に決めていたかだ、というのがいちばん大きな学びです。
これからAIを試すなら、まず困っている仕事を1つ選び、どれだけ楽にしたいかを決めてから、道具を探すのがよさそうです。
出典
・Engineerforce「約7割が『課題が不明確なまま』AI導入を推進!企業の現場が直面するAI活用の実態を調査」(2026年10月23日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000096.000068877.html
・Engineerforce「業務におけるAI導入・活用の実態調査」(調査の全編) https://engineerforce.io/column/ai-situation-survey/
