企業のAI利用料の8割が、成果に結びついていない。アクセンチュアの調査で判明。AIへの頼みごとの54%は「必要以上に高性能なAI」に回っていた
・アクセンチュアが、日本を含む17か国の大企業の経営層750人に行った調査の結果を発表した。AIの利用料(トークンの支出)のうち、お金の面の成果との結びつきを示せているのは、2割未満だった
・3社に1社が、すでにAIの利用料の年間の予算を超えていた。経営層は、今後2年で使う量が78%増えると見込んでいる
・高性能なAIが本当に要る仕事は全体の約1割なのに、頼みごとの54%が、必要以上に高性能なAIに回っていた。使い分けなどを徹底すれば、利用料の増え方を最大44%抑えられるとしている
アクセンチュアは2026年9月17日、企業のAIの利用料についての調査の結果を発表しました。
AIの料金の多くは、「トークン」という文章の量の単位で決まります(トークンとはの記事)。使えば使うほど、料金は増えます。調査は、その料金が、どのくらい成果につながっているのかを、大企業の経営層に聞いたものです。
この記事では、アクセンチュアの発表で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
AIの利用料のうち、成果との結びつきを示せているのは2割未満
まずは、調査の中心になる結果を見ていきます。
アクセンチュアの発表によると、主な数字は次のとおりです。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| お金の面の成果との結びつきを示せている利用料 | 2割未満 |
| いちばん大事なAIの使い道で、成果に対する費用を出せている企業 | 35% |
| AIの利用料の年間の予算を、すでに超えた企業 | 3社に1社 |
| 今後2年で見込まれる、使う量の増え方 | 78%増 |
| AIの予算のうち、利用料に充てている割合(平均) | 25% |
料金が下がれば解決する、という話でもありません。AIの料金が25%以上下がった場合、95%の経営層が、それを機にAIへの支出を全体として増やすと答えました。安くなった分は、節約ではなく、もっと使うことに回る、ということです。
頼みごとの54%が「必要以上に高性能なAI」に回っていた
次に、費用がふくらむ理由です。
アクセンチュアは、米国の職業の情報をもとに、9,368の仕事の作業を分析しました。その結果は、次のとおりです。
・最先端の高性能なAIの力が本当に要る作業は、全体の約1割
・ところが実際には、AIへの頼みごとの54%が、その作業に必要な水準を超える、高性能すぎるAIに回されていた
対策として、仕事に合わせてAIを自動で振り分ける仕組みがあります。経営層は、費用を抑えるうえで最も大事な手だと考えていますが、実際に入れている企業は30%でした。
AIを使った量に応じて、部門ごとに費用を割り振る仕組みを入れている企業は、7%にとどまりました。
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使い分けと責任の明確化で、増え方を最大44%抑えられる
アクセンチュアは、うまく管理している企業が大事にしていることとして、次の5つを挙げています。
・AIを入れる前に、案件ごとの責任者、使うAI、費用、見込む成果を把握する
・部門やチームごとに、AIの費用を結びつけて管理する
・仕事に合わせてAIを選ぶ。最先端のAIは難しい仕事に絞り、ほかは安いAIを使う
・入れる前に、期待する成果、費用、うまくいったと言える目安を決める
・社員に、仕事に合ったAIの選び方を伝える
こうした取り組みを徹底すると、今後2年で見込まれる利用料の増え方を、最大44%抑えられる可能性があるとしています。
仕事はどう変わるか:「いちばん賢いAIを全部に使う」をやめる
ここからは、公式の発表をもとにした僕の見方です。
今回の調査で変わるのは、AIの「選び方」だと考えています。
「どうせ使うなら、いちばん賢いAIで」と考えるのは、自然なことです。ただ、調査が示したのは、高性能なAIが本当に要る仕事は約1割しかない、という数字でした。メールの下書き、文章の要約、表の整理といった日々の仕事は、軽くて安いAIで足ります(AIモデル早見表の記事)。
大企業の話に見えますが、仕組みは個人でも同じです。賢いAIほど、使える回数の上限に早く達し、上のプランが必要になります。
月額のプランでAIを使っている個人事業主にとっても、難しい相談だけを高性能なAIに回し、ふだんの作業は軽いAIに任せる、という使い分けが、上限と費用の両方を抑えることにつながります。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・調査の対象は、年間の売上が10億ドルを超える大企業の経営層。小さな会社や個人の様子を調べたものではない
・「最大44%」は、アクセンチュアの試算による見込み。あわせて、アクセンチュアは、AIの費用の管理を支援する新しいサービスの提供も発表している
・調査は2026年7月に行われたもの。発表は9月17日
まとめ:企業のAI利用料の8割は成果に結びついていない。仕事に合わせてAIを使い分ける
アクセンチュアの調査で、大企業のAIの利用料のうち、成果との結びつきを示せているのは2割未満だと分かりました。高性能なAIが本当に要る仕事は約1割なのに、頼みごとの54%が、必要以上に高性能なAIに回っていました。
いちばん賢いAIを何にでも使うのではなく、仕事に合わせて使い分けることが、費用を抑える近道だと示されたのが、いちばん大きな学びです。
ふだんの作業でどのAIを使っているかを見直し、軽いAIで足りる仕事を分けてみるのがよさそうです。
出典
・アクセンチュア「AIトークン支出の8割、必ずしも事業成果に結びつかず」(2026年9月17日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000485.000019290.html
