中国Moonshot AIが「Kimi K3.1 Pro」を発表。プログラム作りの試験でGPT-6 Astraを上回り、重みは11月4日までに公開、攻撃に使われうる学習データは取り除いた
・中国のMoonshot AIが、AIモデル「Kimi K3.1 Pro」を発表した。100万トークンを一度に扱え、プログラム作り、3Dの制作、金融の調べものの力を強めた。Kimi.aiやアプリ、APIで今日から使え、モデルの中身(重み)は11月4日までに公開する
・プログラム作りの試験(Terminal-Bench 4.0)では65.7%で、GPT-6 Astra(58.2%)を上回り、Claude Opus 5.5(66.4%)にわずかに届かなかった。事実の誤りの割合も、前のK3の23.4%から8.3%に下がったとしている
・重みを公開するにあたり、サイバー攻撃に使われうる学習データを見つけて取り除き、攻撃の力を最先端の非公開のモデルより低くおさえたとしている
中国のMoonshot AIは、AIモデル「Kimi K3.1 Pro」を発表しました。
AIのモデルには、中身を公開せずにサービスとして提供するものと、中身(重み)を公開してだれでも手元で動かせるようにするものがあります。Kimiは後者で、公開されたモデルの中でも最高の水準をねらっています。一方で、中身を公開すると、悪い使い方も止められません。Moonshot AIは今回、その点への対策も詳しく説明しています。
この記事では、Moonshot AIの発表で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
プログラム作り、3D、金融の調べものを強めた
まずは、モデルの中身です。
Moonshot AIの発表によると、次のとおりです。
・前のモデル「Kimi K3」に、さらに多くの追加の学習を重ねたモデル。一度に扱える量は100万トークン
・ゲームの開発の道具(Unity、Unreal Engine、Godot)と組み合わせて、ゲームやWebの体験を作れる
・図面や写真から3Dのモデルを作る力が強い。Kimi.aiとアプリでは、3Dのモデルを作って、3Dプリンター向けに書き出せる「3D Make」を始めた
・金融の資料の分析や、財務のモデルづくりの力も上げた
・2〜3倍速く動く「Kimi K3.1 Pro Highspeed」も同時に出した
他社の最先端のモデルとの比べ
次に、試験の結果です。
| 試験 | Kimi K3.1 Pro | 比べた相手 |
|---|---|---|
| プログラム作り(Terminal-Bench 4.0) | 65.7% | GPT-6 Astra 58.2%、Claude Opus 5.5 66.4% |
| 図面から3Dを作る(BenchCAD・道具あり) | 92.7% | Claude Opus 5.5 96.2%、GPT-6 Astra 95.9% |
| 事実の誤り(社内の難しい試験) | 8.3% | 前のK3 23.4% |
事実の誤りの数字は、わざと難しい質問を集めた試験での結果で、ふだん使うときの誤りの割合を表すものではないとしています。
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重みの公開に向けて、攻撃に使われうるデータを取り除いた
ここで、安全への対策を見ておきます。
・開発の途中で、学習を重ねるほど、プログラムの弱点を探す力が伸びていくことに気づいた。調べると、ふつうの学習データや練習の課題の中に、サイバー攻撃に関わる内容が混ざっていた
・そうしたデータを見つけて取り除き、使い道の広さは保ちつつ、悪用の危険を下げた
・重みを公開するモデルが、サイバー攻撃の力で最先端を広げないことを方針にしている。K3.1 Proの攻撃の力は、最先端の非公開のモデルより低いとしている
仕事はどう変わるか:「手元で動かせる高性能のAI」の選択肢が増える
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回の発表で変わるのは、AIの「持ち方の選択」だと考えています。
これまで、最先端に近い性能のAIを使うには、OpenAIやAnthropic、Googleのサービスに頼むのが中心でした。重みが公開されれば、十分な設備がある会社は、自社のコンピューターの中でこの水準のAIを動かせるようになります。外に出せない情報を扱う会社には、選択肢が増えることになります。
重みを公開するかどうかの考え方は、オープンウェイトとはの記事でも説明しています。
一方で、Kimi.aiやアプリ、APIのように、Moonshot AIのサービスとして使う場合は、データの扱いを自分で確かめる必要があります。
AIの使い道を考えている個人事業主にとっては、3Dのモデルや金融の資料づくりのような、得意分野がはっきりしたAIが増えていることを知っておくと、道具の選び方が広がりそうです。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・重みの公開は「11月4日までに」の予定。公開されるまでは、手元で動かすことはできない
・Kimi.aiやアプリ、APIを使うときは、入力した情報がどこで、どう扱われるかを、利用規約とプライバシーの説明で確かめる。お客様の情報や社外に出せない情報は入れない
・試験の数字は、Moonshot AIが発表したもの。自分の仕事で使えるかは、試して確かめる
まとめ:Kimi K3.1 Proが最先端に迫る性能で登場。重みの公開に向けて攻撃の力はおさえた
中国のMoonshot AIは、プログラム作りや3D、金融の調べものに強い「Kimi K3.1 Pro」を発表しました。試験の一部でGPT-6 Astraを上回り、重みは11月4日までに公開する予定です。公開に向けて、サイバー攻撃に使われうるデータを取り除いたとしています。
最先端に迫る性能のAIを、中身ごと手元に持てる選択肢が増えてきた、というのがいちばん大きな変化です。
使うなら、サービスとして使うときは入れる情報を選び、手元で動かすなら重みの公開を待って、設備と使い道を確かめるのがよさそうです。
出典
・Moonshot AI「Kimi K3.1 Pro Tech Blog: Advancing Open Intelligence」 https://www.kimi.ai/blog/kimi-k3-1-pro
