Mistral Large 4の中身(重み)が公開された。1兆パラメータのモデルを自分のサーバーで動かせ、商用利用もできる。公開前より、プログラム作りと守りのセキュリティが強化
・フランスのMistral AIが、AIモデル「Mistral Large 4」(愛称Le Chonk)の重みを公開した。約1兆パラメータで、画像も読めるモデル。Hugging Faceからダウンロードし、自分のサーバーで動かせる
・10月初めの試験の公開から、学習を3週間重ね、プログラム作りと、サイバー攻撃から守る力を大きく伸ばした。プログラム作りの試験の一部では、公開されたモデルの中で首位としている
・ライセンスは、MITを少し変えたもの。使う、作りかえる、商用に使うことは自由だが、モデルそのものをサービスとして売る会社は、別の商用ライセンスが要る。APIの料金は入力100万トークンあたり0.70ドル、出力2.10ドル
Mistral AIは、Mistral Large 4の重みを公開したと発表しました。
Mistral Large 4は、10月初めに試験の形で発表され、重みは10月末に公開する予定とされていました(Mistral Large 4の記事)。その予定どおり、改良を重ねた版の重みが公開されました。欧州の設備で一から学習したモデルで、データを外に出したくない会社や国が、自分で持てるAIとして位置づけています。
この記事では、Mistral AIの発表で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
3週間の追加の学習で、プログラム作りが伸びた
まずは、性能の変化です。
Mistral AIの発表によると、次のとおりです。
| 試験 | 結果 |
|---|---|
| FrontierCode 2.0(できあがったコードの質) | 19.7%で、比べた公開のモデルの中で首位 |
| Terminal-Bench 4.0(コマンドの画面でのプログラム作り) | 41%。試験の公開版から13ポイント上がり、公開のモデルで首位 |
| Artificial Analysis Coding Agent Index | 48%で、公開のモデルの首位とほぼ並ぶ。1つの仕事に使うトークンは平均47%少ない |
人が中身を見比べる試験では、比べた公開のモデルより好まれ、比べた中ではClaude Opus 5.5にだけ及ばなかったとしています。
考えの深さを3段階で選べる
次に、使い方の変化です。
・考えの深さを「Low」「Medium」「High(初めの設定)」の3段階で選べるようになった。簡単な仕事は浅く速く、難しい仕事は深く、と使い分けられる
・160を超える言語に対応し、日本語も扱える
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使い方とライセンス
ここで、使い方と条件を見ておきます。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 使える場所 | Mistral Studio、Mistral API、OpenRouter。重みはHugging Faceからダウンロードして、自分の設備で動かせる |
| ライセンス | MITを少し変えたもの。使う、作りかえる、商用に使うのは自由。ただし、モデルそのものをサービスとして提供する会社は、別に商用のライセンスを取る必要がある |
| APIの料金(100万トークンあたり) | 入力0.70ドル、くり返し使う入力0.07ドル、出力2.10ドル |
詳しい技術の報告は、近く公開するとしています。
仕事はどう変わるか:「手元に置けるAI」の性能が、最先端に近づく
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回の公開で変わるのは、自分で持てるAIの「性能の天井」だと考えています。
これまで、最先端に近い性能のAIを使うには、AIの会社のサービスにデータを送るのが前提でした。Mistral Large 4は、プログラム作りの試験で、公開のモデルの中では首位の水準にあり、しかも中身ごと手元に置けます。外に出せない情報を扱う会社や、欧州のように「どこの国のAIか」を気にする組織には、大きな選択肢になります。
10月下旬には、中国のKimi K3.1 Proも重みの公開を予告していました。公開のモデルの競争は、欧州と中国が引っぱる形になっています。
AIの使い道を考えている個人事業主にとっても、APIの料金が安いMistral Large 4は、たくさんの文章を処理する仕事などで、費用を抑える選択肢になりそうです。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・約1兆パラメータのモデルを自分で動かすには、大きな計算の設備が要る。手元のパソコンで動かすものではない
・モデルそのものをサービスとして売る場合は、別のライセンスが要る
・試験の数字は、Mistral AIが発表したもの。自分の仕事で試して確かめる
まとめ:Mistral Large 4の重みが公開。最先端に近い性能のAIを、中身ごと持てるように
Mistral AIは、約1兆パラメータのMistral Large 4の重みを公開しました。試験の公開から3週間の学習で、プログラム作りと守りのセキュリティを伸ばし、プログラム作りの試験の一部で公開のモデルの首位に立ちました。商用にも使え、APIの料金も安めです。
最先端に近い性能のAIを、AIの会社に預けずに、自分の設備の中で持てる選択肢が、はっきりと広がってきた、というのがいちばん大きな変化です。
外に出せない情報を扱う会社は、まずAPIで性能を試し、そのうえで自分の設備で動かす価値があるかを考えるのがよさそうです。
出典
・Mistral AI「Mistral Large 4 (Le Chonk) is now open weight」 https://mistral.ai/news/mistral-large-4-oss/
