Googleが、アジア太平洋の詐欺対策を広げる。AIでなりすます電話を見抜く機能や、日本の詐欺対策の連合「JASA」、詐欺を体験して学ぶゲームの日本展開
・Googleが2026年11月3日、アジア太平洋での詐欺対策の取り組みを発表した。Androidでは、AIを使ったなりすましの電話を見抜く「Fake Call Detection」を今年から提供している
・業界で手を組む取り組みとして、日本では、詐欺対策の連合「Japan Anti-Scam Alliance(JASA)」の立ち上げを手伝ったとしている。JASAにはGoogleのほか、Meta、OpenAI Japan、トレンドマイクロなども加わる
・Google.orgは、アジア太平洋の中小企業や個人を詐欺から守るため、600万ドルを出す。よくある詐欺を体験して学ぶゲーム「Be Scam Ready」を、日本などにも広げる
Googleは2026年11月3日、アジア太平洋の地域で、ネットの詐欺への対策を広げると発表しました。
詐欺のやり口は、国をまたぐ犯罪のグループによって、年々手が込んできています。Googleは、国連の報告をもとに、2025年の東アジア、東南アジア、オーストラリア、ニュージーランドでの詐欺の被害が、最大で1,141億ドルにのぼったとしています。AIで声や文章をまねる手口も出てきたなかで、製品の守り、業界の協力、地域での学びの3つで対策を進めるとしています。
この記事では、Googleの発表で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
AIでなりすます電話を、Androidが見抜く
まずは、製品に組み込んだ守りです。
Googleの発表によると、次のとおりです。
・Androidは今年、AIを使ったなりすましの電話を見抜く「Fake Call Detection」を始めた。通信の共通の規格(RCS)の上に作っていて、ほかの会社も同じ守りを取り入れられる
・Pixelでは、よく使われるメッセージのアプリからの詐欺の疑いを知らせる機能がある。今年中に、ほかのAndroidの端末にも広げる予定
・Google Play以外から配られるアプリからも守るため、Androidのアプリの開発者の確認を広げる
それぞれの機能が日本で使えるかは、発表には書かれていません。
日本では、詐欺対策の連合「JASA」
次に、業界での協力です。
・Googleは今年、業界の各社と、ネットの詐欺への対策の取り決め(Industry Accord Against Online Scams and Fraud)に署名し、手口の情報を共有している
・その取り組みをもとに、日本の「Japan Anti-Scam Alliance(JASA)」の立ち上げを手伝った。官と民が足並みをそろえて守りを進めるための場としている
JASAを運営する一般社団法人トラスト&セーフティ協会によると、JASAは2026年8月26日に発足しました。通信、広告、金融、セキュリティの会社、消費者の団体、専門の機関、大学、関係する省庁などが、業界の垣根を越えて手を組む場です。Google、Meta、OpenAI Japan、トレンドマイクロ、Match Group、TikTok Japanなどが加わっています。協会は、警察庁の発表をもとに、2025年の日本のネットの詐欺の被害は4万3,000件、3,241億円で、過去最多だったとしています。
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600万ドルの支援と、詐欺を体験するゲーム
ここで、地域での学びの取り組みを見ておきます。
| 取り組み | 中身 |
|---|---|
| 600万ドルの支援 | Google.orgが、The Asia FoundationとTech for Good Instituteに資金を出す。地域で詐欺に強くなるための研修、AIを使った守りの試作、政策を作る人への情報提供を行う |
| Be Scam Ready | よくある詐欺の流れをまねて体験し、見抜き方を学ぶゲーム。シンガポール、タイ、台湾に加えて、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、ベトナムに広げる |
| 地域の団体の支援 | シンガポールや台湾の団体を通じて、それぞれの地域に合った研修を行ってきた |
仕事はどう変わるか:詐欺への備えが「1社の守り」から「業界をまたぐ守り」へ
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回の発表で見えてきたのは、詐欺への備えの「守り方」の変化だと考えています。
ネットの詐欺は、SNSや広告、電話で近づき、別のアプリに誘い、最後にお金を振り込ませる、というように、いくつもの会社のサービスをまたいで進みます。1つの会社だけが守っても、すき間を突かれます。JASAのように、通信、広告、金融、AIの会社が手口の情報を持ち寄れば、途中で流れを断ちやすくなります。
AIで作った文章や声は、詐欺のやり口も変えています。AIで1人ずつに合わせた偽のメールを作る研究も出ています(AIで作る偽メールの研究の記事)。
取引先からの連絡をメールや電話で受けている個人事業主にとっても、「急ぎの振り込み」や「口座の変更」の連絡は、別の連絡手段で本人に確かめる、という決まりを持っておくと安心です。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・Fake Call Detectionなど、Androidの機能が日本で使えるかは、発表には書かれていない
・Be Scam Readyの日本での提供の時期は、発表には書かれていない
・被害の金額は、Googleが国連の報告をもとに示したものと、協会が警察庁の発表をもとに示したもの
まとめ:Googleがアジア太平洋の詐欺対策を広げ、日本ではJASAや体験型のゲームも
Googleは、AIでなりすます電話を見抜くAndroidの機能、日本の詐欺対策の連合JASAの立ち上げの手助け、600万ドルの支援、詐欺を体験して学ぶゲームの日本などへの展開を発表しました。
詐欺への備えが、1つの会社の守りから、業界と国をまたいで手口を共有する守りに変わってきた、というのがいちばん大きな変化です。
まずは、お金や口座に関わる連絡が来たら、いったん手を止め、別の手段で相手に確かめる、という習慣を職場や家族で決めておくのがよさそうです。
出典
・Google「Working collaboratively to fight scams in Asia Pacific」(2026年11月3日) https://blog.google/company-news/inside-google/around-the-globe/google-asia/fight-against-apac-scams/
・一般社団法人トラスト&セーフティ協会「Japan Anti-Scam Alliance (JASA) Established Today」(2026年8月26日) https://www.trustsafety.or.jp/blog/2026/08/jasa_establishment_en.html
