【エネルギー】~代謝のしくみ~
エネルギーとは、体を動かす原動力です。
私たちは、食物を摂取し、その食物の成分(栄養素)が体内で分解されてできるエネルギーを使って生命活動を行っています。
このエネルギーを利用して、体温を一定に保ったり、心臓を動かしたり、呼吸をしたり、筋肉を収縮させて体を動かしているのです。
また、脳細胞が正常に機能するためにもエネルギーは欠かせません。
このように、人間が生命活動を維持するためには、食物からのエネルギー供給が不可欠です。
エネルギーのもととなる栄養素は、炭水化物、タンパク質、脂質であり、これらはエネルギー源と呼ばれます。
食物のエネルギー
食物のエネルギー量を表す単位はcal(カロリー)です。
私たちは日常的に「カロリーが高い」という使い方をしますが、カロリーは単位なので正確には「エネルギーが高い」となります。
水1gの温度を1℃上げるのに必要なエネルギー量(熱量)が1calです。
通常、用いる単位としては小さすぎるため、この1,000倍を単位とし、kcal(キロカロリー)で表します。
炭水化物、タンパク質、脂質が体内で発生するエネルギー量は、それぞれ1g当たり炭水化物は4kcal、タンパク質は4kcal、脂質は9kcalとなります。
この値をアトウォーター係数と呼びます。
食品中の栄養素の含有率が分かれば、この値を用いてその食品のエネルギー量を求めることができます。
例えば、大豆(乾)100gの中に炭水化物28.2g、タンパク質35.3g、脂質19.0gが含まれていたとします。
アトウォーター係数を用いて大豆(乾)のエネルギー量を求めると(28.2×4)+(35.3×4)+(19.0×9)=425kcal となります。
エネルギー発生のしくみ
私たちは口から摂取した食物をそのままの形では生命活動に利用できません。
そのため、栄養素をエネルギーという利用できる形にします。
炭水化物は消化によってブドウ糖になり、タンパク質はアミノ酸になり、脂質は脂肪酸とグリセリンになります。
そして、酵素とビタミンB群の働きによってアセチルCoAという物質に変えられ、TCA回路(クエン酸回路)に取り込まれます。
アセチルCoAは、体内の酸素や酵素、ビタミンB群と反応して、水、エネルギー、二酸化炭素を発生します。
エネルギー代謝
エネルギー代謝とは、体内に取り入れた食物がエネルギー源として利用されるしくみのことをいいます。
エネルギー代謝は、基礎代謝、身体活動、特異動的作用の3つに分類されます。
(1)基礎代謝
基礎代謝とは、体温を維持する、心臓を動かす、呼吸を行うといった、生命を維持するために必要なエネルギーのことです。
すなわち、生きていくために最低限必要なエネルギーのことを基礎代謝といいます。
基礎代謝は体が大きいほど増加するが、この場合、体重より体表面積に比例します。
数値は食後十数時間経過したときに20℃の室温の中、安静に横たわっている状態で消費されるエネルギー量を指します。
●条件による基礎代謝量の違い
①年齢
体重1kg当たりの基礎代謝量は1~2歳で最高値となり、以降加齢とともに次第に減少します。
②性別
同体重では、女性よりも筋肉量の多い男性の方が高い。ただし、妊娠後期は増加します。
③体格
脂肪質よりも筋肉質の方が高い。
④気温
夏よりも、体温を維持する必要がある冬の方が高い。
⑤体温
体温が上昇すると増加します。
⑥栄養状態
低栄養時(偏った食事、無理なダイエット、長期間の食物の摂取不足など)は減少します。
(2)身体活動
人は日常生活において、さまざまな身体活動を行っているため、安静時よりエネルギーを消費しています。
身体活動とは、家事、労働、運動、余暇活動など、すべての生活活動を指します。
(3)特異動的作用
食物を摂取すると、咀嚼や消化・吸収など体の各部分で消費エネルギー量が発生し、代謝が亢進するため代謝エネルギー量が増えます。
食物を摂取すると特異的に消費エネルギー量が増加するため、この名称が付けられました。
特異動的作用は、摂取した栄養素によって異なります。
例えば、タンパク質を単独で摂取した場合、摂取エネルギー量の約30%は特異動的作用として消費されるのに対し、炭水化物や脂質の場合はそれぞれ約5%です。
-MEMO- 1日の必要エネルギー量
1日に消費されるエネルギー量は、基礎代謝と身体活動と特異動的作用によるエネルギー量を合計したものです。
性、年齢、体重、身体活動に合ったおおよその必要エネルギー量を知るには、基礎代謝と身体活動レベルをもとに計算することができます。
基礎代謝量[A]を基礎代謝基準値[B]と体重(kg)から計算し、さらに身体活動レベル[C]を加味して、望ましい1日の必要エネルギー量[D]を計算してみましょう。
[A]基礎代謝量 = 基礎代謝基準値[B]kcal × 体重[ ]kg
●計算例 53歳 男性 体重72.0kgの場合 21.5×72=1,548kcal
[B]日本人の基礎代謝基準値(体重1kg当たりの基礎代謝量の目安)
[C]身体活動レベルと指数
注)
身体レベルはあくまでも目安であり、自分の身体活動に近いパターンを選択して計算します。
また、指数は、基礎代謝の倍数になっています。
例えば、「低い(Ⅰ)」では、基礎代謝の1.5倍の強度ということになります。
[D]1日の必要エネルギー量 = 基礎代謝量[A]kcal × 身体活動レベル[C]
●計算例 基礎代謝量1,548kcalで身体活動レベルがⅡ(普通)の場合
1,548kcal×1.75=2,709kcal
代謝のしくみに関するまとめ記事はこちら
健康管理士について知りたい方はコチラをご覧ください。