【排せつ】~代謝のしくみ~
消化・吸収されずに残ったものは便として排せつされ、血液中の余分な水分や老廃物は尿として排せつされます。
便の排せつのしくみと成分
(1)便の排せつのしくみ
小腸から大腸へ送り込まれた未消化物は、はじめはドロドロの流動状ですが、大腸を通過する過程で水分が少しずつ吸収され、最終的に固形状になって直腸へ入り、便として排せつされます。
(2)便の成分
便の成分は、主に消化・吸収されなかった食物の残りかす、水分、腸内細菌、ビリルビン、余分な栄養素(コレステロール、カルシウム、マグネシウム、鉄など)です。
ビリルビンは黄色い色素を含むので、便は黄色い色をしています。
また、タンパク質の一部は未消化のまま大腸に送られ、腸内細菌によって分解されます。
分解物質にはアンモニアなどの有害なものが多く、便やおならが臭くなります。
尿の排せつのしくみと成分
(1)尿の排せつのしくみ
栄養素は体内で利用された後、老廃物として血液によって腎臓に運ばれます。
腎臓では糸球体という器官で、血液中の物質や水分をろ過して、尿のもととなる原尿をつくります。
原尿は、次に尿細管という管を通り、その間にろ過した水分の約99%を再吸収します。
残りの1%の水分と不要な物質が尿として排せつされます。
(2)尿の成分
尿の成分の約90%は水分で、残りは尿素、ナトリウム、アンモニア、体内で余剰となった水溶性ビタミン、ミネラルです。
-MEMO- 発汗による排せつ
私たちは、暑いときや緊張したとき、汗をかいて体温を調整しています。
そして、体内の余分な水や栄養素の排せつも行っています。
(1)汗をかくしくみ
体が気温や体温の変化を感じると、その情報は神経を通じて体温調節中枢に伝達されます。
そして、体温調節中枢から自律神経を通じて、気温や体温が高くなった場合は「汗をかくように」などの指令が出て、汗をかきます。
汗のかき方には個人差があり、性、体型、年齢などが関係します。
例えば、女性よりも男性の方が多く汗をかく理由として、男性の方が基礎代謝が高いということが挙げられます。
これは、基礎代謝が高いために、体温が高くなりやすいためです。
また、男性ホルモンには発汗を促す作用があります。
一方、女性は皮下脂肪が厚いので、気温の影響を受けにくく、発汗量も少ないです。
ただし、皮下脂肪には断熱効果があるため、代謝によって体内の熱が上がると、発汗量を多くして、一定の体温を保ちます。
肥満の人が運動や食事をするとたくさん汗をかくのはこのためです。
年齢的な影響としては、加齢によって基礎代謝が低下し、体温が上がらなくなるので汗をかきにくくなります。
そして、加齢によって脳の機能が衰えると、体温調節システムもうまく作動しなくなるので、環境の変化に順応できずに発汗の調節もできなくなります。
(2)汗の性質
汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類があり、この違いによって汗の性質が異なります。
●エクリン腺
私たちが一般的に汗をかいたと感じるのは、エクリン腺からの汗です。
エクリン腺は、ほぼ全身に分布しています。
皮膚の表面から1~3mmのところ、真皮層から皮下組織の上部にかけて存在する小さな汗腺で、その数は体全体で約200~500万個あるといわれています。
しかし、実際に活動している汗腺(能動汗腺)はその半分くらいで、残りの半分は働いていません。
よって、この能動汗腺が汗の量を左右し、体温調節のために働いているのです。
●アポクリン腺
アポクリン腺は、わきの下や外耳道、外陰部など、限られた場所にのみ存在します。
皮下組織に位置し、毛穴を通して乳白色の粘り気のある液体を分泌します。
その大きさはエクリン腺の10倍もあり、大汗腺とも呼ばれています。
(3)汗の成分
汗の成分も汗腺によって異なります。
エクリン腺から出る汗は99%以上が水です。
わずかながらナトリウム、カリウム、カルシウム、尿素、アンモニアなど、血液と同じ成分が含まれています。
アポクリン腺から出る汗は、エクリン腺と比較してナトリウムが少なく、炭水化物、タンパク質、脂質、アンモニア、ピルビン酸、鉄などのさまざまな成分が含まれていて、粘り気があり、においの原因になります。
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