正社員を辞めたいとき「結び目をほどくように」準備すれば後悔せずに次へ進める!ローマの哲学者の対策を紹介
正社員を辞めたい。
決まった時間に出社し、会社の都合で働き方が決まる毎日に、息苦しさを感じている。
でも、安定した収入や身分を手放すのは怖くて、なかなか踏み出せない。
そんなふうに、正社員を辞めたい気持ちと不安のあいだで揺れることはありませんか?
正社員を辞めたいときは、いきなり断ち切るのではなく、「結び目をほどくように」少しずつ準備することで、後悔せずに次へ進めます。
なぜなら、正社員を辞めることの不安の多くは、今の暮らしを一度にすべて手放すことへの怖さから生まれているから。
実はこの考え方、約2000年前のローマの哲学者セネカが、忙しい仕事から離れたいと願う友人に宛てた手紙に書き残したもの。
セネカは、もつれた結び目は、断ち切るよりも、ほどくほうがよい、と友人にすすめていました。
その言葉が、正社員を辞めるかどうかを考えるための大きなヒントになります。
この記事を読むとわかること
- 正社員を辞めたいのに、踏み出せない理由
- ローマの哲学者セネカが書いた「結び目は断ち切るより、ほどくほうがよい」という考え方
- 結び目をほどくように準備して、後悔せずに次へ進む方法
この記事を読めば、正社員を辞めるかどうかを、勢いではなく、自分で納得して決められるようになります。
正社員を辞めたいのに踏み出せないのは、今の暮らしを一度に手放すのが怖いから

正社員を辞めたいと思うのは、働き方や生き方を、真剣に見つめ直しているからです。
会社に合わせる働き方ではなく、自分に合った働き方をしたい、という気持ちは自然なものです。
ただ、正社員を辞めるとなると、手放すものも大きくなります。
収入、社会保険、周りからの信用。
それらを一度にすべて手放すことを考えると、怖くて踏み出せなくなってしまうのです。
ここでは、正社員を辞めたいのに、踏み出せない理由を見ていきます。
正社員だからこそ得ているものが多い
正社員として働いていると、気づかないうちに、多くのものを受け取っています。
・毎月決まった給料と、ボーナス
・会社が半分払ってくれる、健康保険や年金
・住宅ローンを組むときなどの、社会的な信用
辞めたい気持ちが強くなるほど、こうしたものの大きさが、改めて見えてきます。
手放すものが大きいからこそ、踏み出すのが怖くなるのです。
「辞めるか、続けるか」の2つしかないと思ってしまう
正社員を辞めたいと考えるとき、多くの人は、こんなふうに考えます。
・今すぐ辞めるか、このままずっと続けるか
・辞めたら、もう後戻りはできない
・辞めるなら、すべてを捨てる覚悟が必要だ
選べる道が2つしかないと思うと、どちらを選んでも大きな決断になります。
だから、なかなか決められずに、時間だけが過ぎていってしまうのです。
では、正社員を辞めたい気持ちと、どう向き合えばいいのか。
そのヒントを、約2000年前のローマの哲学者セネカが、友人への手紙に書き残しています。
セネカに学ぶ|もつれた結び目は、断ち切るよりほどくほうがいい

セネカは、約2000年前のローマで活躍した哲学者です。
皇帝ネロの教育係を務め、政治の世界にも深く関わっていました。
そのセネカが、晩年に友人ルキリウスに宛てて書いた手紙が、『倫理書簡集』としてまとめられています。
ルキリウスは、重要な役職につく忙しい人で、仕事から離れて自分の時間を持ちたいと願っていました。
ここでは、仕事から離れたいと願う友人に、セネカが伝えた言葉を紹介します。
「結び目は、断ち切るより、ほどくほうがいい」
セネカは、第22書簡の中で、友人にこう書いています(訳は筆者によるもの)。
> あなたは、おだやかな道をとるべきだ。自分でうまく結べなかった結び目は、断ち切るよりも、ほどくほうがいい。ただし、ほかにほどく方法がなければ、断ち切ってもかまわない。
セネカは、仕事から離れることそのものには、賛成していました。
ただ、そのやり方は、一気に断ち切るのではなく、少しずつほどいていくのがよい、とすすめたのです。
そして、どうしてもほどけないときは、思い切って断ち切ってもよい、とも添えています。
宙ぶらりんのまま、いつまでも迷い続けるよりは、そのほうがいいというのです。
「退くときは、ゆっくりと、一歩ずつ」
セネカは、『心の平静について』第4章でも、こう書いています(訳は筆者によるもの)。
> ときには退かなければならないこともある。だが、退くときは、ゆっくりと、一歩ずつ退くべきだ。
退くことは、悪いことではありません。
ただ、慌てて逃げ出すように退くのではなく、自分のペースで、一歩ずつ退く。
それが、セネカの考える、賢い退き方だったのです。
ここからは、セネカの考え方を、正社員を辞めたいときに使える手順にして紹介していきます。
スポンサーリンク
正社員を辞めたいとき「結び目をほどくように」準備すれば後悔せずに次へ進める

正社員を辞めたい気持ちと向き合うために必要なのは、勢いで辞表を出すことでも、気持ちを押し殺して続けることでもありません。
今の暮らしと会社とのつながりを、結び目をほどくように、1つずつ確かめながら準備していくことです。
ほどきながら進めば、辞めるにしても、続けるにしても、後悔の少ない選び方ができます。
それでは、4つの手順に分けて紹介します。
手順1:正社員を辞めたい理由を書き出す
まず、正社員を辞めたい理由を、具体的に書き出します。
・毎日決まった時間に出社するのがつらい
・会社の都合で、異動や転勤が決まるのが嫌だ
・自分の力を、別の形で試してみたい
理由がはっきりすると、「正社員そのもの」が嫌なのか、「今の会社」が嫌なのかが見えてきます。
今の会社が理由なら、正社員のまま会社を変えるという道もあります。
手順2:正社員だから受け取っているものを書き出す
次に、正社員だからこそ受け取っているものを書き出します。
・毎月の給料とボーナスの額
・会社が負担している、健康保険や年金の分
・有給休暇や、会社の福利厚生
辞めたあとに、これらをどうするかを考えるための準備です。
手放すものがはっきりすれば、何を準備すればいいかも見えてきます。
手順3:辞める前に、ほどけるものから1つずつほどいていく
辞める前に、少しずつ準備を進めます。
・生活費の半年分ほどを、貯めておく
・辞めたあとの働き方を、休日や空き時間で小さく試してみる
・辞めたあとの健康保険や年金の手続きを、調べておく
セネカの言う「結び目をほどく」です。
1つずつほどいていけば、辞めるときに手放すものの怖さは、少しずつ小さくなっていきます。
手順4:ほどき終えたところで、辞めるかどうかを決める
準備がある程度進んだところで、改めて、辞めるかどうかを決めます。
・準備が整い、次の働き方の見通しも立った → 時期を決めて、辞める準備に入る
・準備するうちに、今の会社でも変えられることが見えた → 働き方を変えながら続ける
・どうしても今がつらく、待てない → 心と体を守るために、早めに決断する
セネカが言うように、ほどけないときは断ち切ってもかまいません。
大切なのは、勢いではなく、自分で確かめたうえで決めることです。
自分に合う働き方を知るための、セネカのもう1つの考え方

正社員を辞めるかどうかを考えるときは、自分にどんな働き方が合っているのかを知ることも大切です。
辞めることは、ゴールではなく、自分に合う働き方を選ぶための手段だからです。
セネカは、『心の平静について』の中で、自分に合う生き方を選ぶことの大切さについても書いています。
ここでは、自分に合う働き方を知るための、セネカの考え方を紹介します。
「自分の性質が、動くことに向いているか、静かに考えることに向いているかを見極めよ」
セネカは、『心の平静について』第7章で、こう書いています(訳は筆者によるもの)。
> 自分の性質が、活発に動くことに向いているのか、静かに考えをめぐらすことに向いているのかを見極め、合っているほうを選ばなければならない。
人には、それぞれ向いている働き方があります。
大勢の人と関わりながら動くのが合う人もいれば、1人で落ち着いて取り組むのが合う人もいます。
正社員を辞めたいと思うのは、今の働き方が、自分の性質に合っていないからかもしれません。
自分の性質を見極めることが、正社員を続けるか辞めるかを決める、いちばんの手がかりになるのです。
まとめ:正社員を辞めたいときは「結び目をほどくように」準備してみよう!

最後に、この記事のポイントをまとめます。
正社員を辞めたいのに踏み出せないのは、今の暮らしを一度に手放すのが怖いから
正社員だからこそ受け取っているものは、思っている以上に多いものです。
「辞めるか、続けるか」の2つしかないと思うと、決断がとても重くなってしまいます。
セネカは「結び目は、断ち切るよりほどくほうがいい」と書いた
仕事から離れることには賛成しながらも、一気に断ち切るのではなく、少しずつほどくようにすすめた。
退くときは、ゆっくりと、一歩ずつ退くべきだ、ともセネカは書いています。
辞めたい理由と受け取っているものを書き出し、ほどけるものから準備する
正社員を辞めたい理由を書き出す。
正社員だから受け取っているものを書き出す。
辞める前に、ほどけるものから1つずつほどいていく。
ほどき終えたところで、辞めるかどうかを決める。
正社員を辞めたいと思うのは、自分に合う働き方を真剣に探しているからです。
あなたが、焦らず一歩ずつ準備を進め、納得のいく働き方を選べることを、心から応援しています。
同じように仕事に悩むときに役立つ記事です。


セネカの手紙を読んでみたいあなたへ
この記事で紹介した言葉は、セネカが友人ルキリウスに宛てた手紙(『倫理書簡集』)に収められています。
日本語訳は、訳者の違う2冊があります。
参考文献
- セネカ『倫理書簡集』第22書簡 第3節(英訳:Richard Mott Gummere 訳、Wikisource https://en.wikisource.org/wiki/Moral_letters_to_Lucilius/Letter_22)
- セネカ『心の平静について』第4章・第7章(英訳:Aubrey Stewart 訳 “Of Peace of Mind”、Wikisource https://en.wikisource.org/wiki/Of_Peace_of_Mind)
