転職したいけど怖いとき「離れたい理由」と「向かいたい理由」を分ければ方針を決められる!ローマの哲学者の対策を紹介
今の会社を辞めて、転職したい。
でも、次の職場が今よりよくなる保証はどこにもなく、失敗したらと思うと、なかなか一歩が踏み出せない。
そんなふうに、転職したい気持ちと怖い気持ちのあいだで、迷い続けていることはありませんか?
転職したいけど怖いときは、転職したい理由を「離れたい理由」と「向かいたい理由」に分けることで、方針を決められます。
なぜなら、転職の怖さの多くは、自分が何から離れたくて、どこへ向かいたいのかが、はっきりしないことから生まれているから。
実はこの考え方、約2000年前のローマの哲学者セネカが、友人に宛てた手紙に書き残したもの。
セネカは、いくら場所を変えても気持ちが晴れないと嘆く友人に、変えるべきものは何かを問いかけていました。
その言葉が、転職するかどうかを決めるための大きなヒントになります。
この記事を読むとわかること
- 転職したいのに、怖くて踏み出せない理由
- ローマの哲学者セネカが、場所を変えたがる友人に伝えたこと
- 「離れたい理由」と「向かいたい理由」を分けて、転職の方針を決める方法
この記事を読めば、転職への怖さの正体がわかり、自分で納得できる方針を決められるようになります。
転職したいけど怖いのは、何から離れて、どこへ向かうのかが見えていないから

転職が怖いのは、当たり前のことです。
収入、人間関係、仕事の中身。
転職すれば、暮らしの大きな部分が変わります。
ただ、怖さを必要以上に大きくしているのは、変化の大きさだけではありません。
「何から離れたいのか」と「どこへ向かいたいのか」が混ざったまま考えているから、答えが出ずに怖さだけが残ってしまうのです。
ここでは、転職したいのに、怖くて踏み出せない理由を見ていきます。
「今がつらい」と「次がわからない」が、同時に押し寄せる
転職を考えるとき、心の中では2つの気持ちが同時に動いています。
・今の職場の人間関係や仕事の量が、つらい
・でも、次の職場がどんなところかは、入ってみないとわからない
・失敗したら、今よりもっとつらくなるかもしれない
今のつらさから早く離れたい気持ちと、先が見えない怖さ。
この2つがぶつかり合うと、どちらにも進めなくなってしまいます。
理由が整理できないと、決めたあとも迷い続ける
転職したい理由をはっきりさせないまま決めると、困ったことが起きます。
・勢いで辞めても、次の職場で同じことに悩んでしまう
・とどまると決めても、「やっぱり辞めればよかった」と考えてしまう
・何を基準に次の職場を選べばいいのか、わからない
理由が整理できていないと、どちらを選んでも、心から納得できません。
だからこそ、決める前に、転職したい理由の中身を確かめることが大切なのです。
では、転職したい理由を、どう確かめればいいのか。
そのヒントを、約2000年前のローマの哲学者セネカが、友人への手紙に書き残しています。
セネカに学ぶ|変えるべきなのは、場所なのか、自分の心の重荷なのか

セネカは、約2000年前のローマで活躍した哲学者です。
皇帝ネロの教育係を務めたことでも知られています。
そのセネカが、晩年に友人ルキリウスに宛てて書いた手紙が、『倫理書簡集』としてまとめられています。
その中に、居場所を変え続けても気持ちが晴れない友人に宛てた手紙があります。
ここでは、セネカが友人に伝えたことを紹介します。
「あなたに必要なのは、場所を変えることではなく、心を変えることだ」
セネカの友人は、長い旅をして、いくつもの場所を回りました。
それでも、心の重苦しさは消えなかったと嘆いていました。
そんな友人に、セネカは第28書簡でこう書いています(訳は筆者によるもの)。
> あなたに必要なのは、場所を変えることではなく、心を変えることだ。
さらにセネカは、哲学者ソクラテスの言葉を引いています。
旅をしても気が晴れないのは、いつも自分自身を連れて歩いているからだ。
旅に出た理由が、いつも後ろからついてくるのだ、と。
「どこへ行くかより、どんな人として行くかのほうが大切だ」
セネカは、同じ手紙の中で、こうも書いています(訳は筆者によるもの)。
> どこへ行くかよりも、どんな人として行くかのほうが大切だ。
セネカは、場所を変えることそのものを否定しているわけではありません。
心の重荷を下ろしたあとなら、どこへ行っても、その場所は心地よい住まいになる、とも書いています。
大切なのは、場所を変える前に、自分が抱えているものを確かめること。
今の職場から離れれば消える悩みなのか、どこへ行ってもついてくる悩みなのか。
それを分けて考えることが、転職を決めるための第一歩なのです。
ここからは、セネカの考え方を、転職したいけど怖いときに使える手順にして紹介していきます。
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転職したいけど怖いとき「離れたい理由」と「向かいたい理由」を分ければ方針を決められる

転職の怖さを小さくするために必要なのは、勇気を出して飛び込むことではありません。
転職したい理由を「離れたい理由」と「向かいたい理由」に分けて、中身を確かめることです。
理由がはっきりすれば、転職するにしても、とどまるにしても、自分で方針を決められます。
それでは、4つの手順に分けて紹介します。
手順1:転職したい理由を、すべて書き出す
まず、転職したいと思う理由を、思いつくまま書き出します。
・上司とうまくいかない
・残業が多く、家族との時間がとれない
・今の仕事では、やりたいことができない
・もっと人の役に立つ仕事がしたい
きれいな理由でなくてかまいません。
本当の気持ちを、そのまま書き出すことが大切です。
手順2:「離れたい理由」と「向かいたい理由」に分ける
書き出した理由を、2つに分けます。
・離れたい理由 → 上司とうまくいかない、残業が多い
・向かいたい理由 → やりたいことがある、人の役に立つ仕事がしたい
離れたい理由は、今の職場の「嫌なこと」です。
向かいたい理由は、次の職場で「やりたいこと」です。
分けてみると、自分の気持ちがどちらに傾いているかが見えてきます。
手順3:「離れたい理由」が、場所を変えて消えるかを確かめる
次に、離れたい理由の1つひとつについて、「職場を変えれば消えるか」を考えます。
・残業が多い → 会社の決まりや業界の事情なら、職場を変えれば変わりやすい
・上司とうまくいかない → 上司が変われば消えるのか、同じような人とまたぶつかりそうか
・仕事に疲れている → 職場の問題なのか、休みが足りていないだけなのか
セネカの言う「いつも後ろからついてくる理由」がないかを、ここで確かめます。
場所を変えても消えそうにない理由は、転職の前に、今の場所でできることがあるかもしれません。
手順4:「向かいたい理由」を軸に、方針を決める
最後に、向かいたい理由を軸にして、方針を決めます。
・向かいたい理由がはっきりしている → 転職活動を始める方向で準備する
・離れたい理由ばかりで、しかも場所を変えれば消える → 条件を決めて、求人を探してみる
・離れたい理由が、場所を変えても消えそうにない → まず今の職場で変えられることを試す
向かいたい理由がある転職は、次の職場を選ぶ基準にもなります。
理由の中身を確かめたうえで出した方針なら、どちらを選んでも、自分で納得して進めるはずです。
怖さと上手に付き合うための、セネカのもう1つの考え方

方針を決めても、怖さが完全に消えるわけではありません。
新しい場所へ向かうとき、怖さを感じるのは自然なことです。
セネカは、同じ手紙の中で、心の重荷を下ろしたあとのことも書いています。
ここでは、転職の怖さと上手に付き合うための、セネカの考え方を紹介します。
重荷を下ろせば、どこへ行っても居場所になる
セネカは、第28書簡の中で、心の重荷を下ろしたあとのことを、こう書いています。
その重荷さえ取り除けば、場所を変えることは、どれも楽しいものになる。
たとえ世界の果ての、どんなに厳しい土地に行ったとしても、そこは心地よい住まいになるだろう、と。
転職が怖いのは、「次の職場が自分に合わなかったらどうしよう」と考えるからです。
でも、自分が何を大切にしたいのかがわかっていれば、どんな職場に行っても、自分の居場所を作っていくことができます。
怖さを消そうとするより、自分の向かいたい方向をはっきりさせておくこと。
それが、どちらの道を選んでも、自分を支えてくれる力になるのです。
まとめ:転職したいけど怖いときは「離れたい理由」と「向かいたい理由」を分けてみよう!

最後に、この記事のポイントをまとめます。
転職したいけど怖いのは、何から離れて、どこへ向かうのかが見えていないから
今のつらさから離れたい気持ちと、先が見えない怖さが、同時に押し寄せます。
理由が整理できないまま決めると、どちらを選んでも迷い続けてしまいます。
セネカは「必要なのは、場所を変えることではなく、心を変えることだ」と書いた
いつも自分自身を連れて歩いているから、旅をしても気が晴れない。
どこへ行くかよりも、どんな人として行くかのほうが大切だ、とセネカは友人に伝えました。
理由を書き出し、「離れたい理由」と「向かいたい理由」に分けて、方針を決める
転職したい理由を、すべて書き出す。
離れたい理由と、向かいたい理由に分ける。
離れたい理由が、場所を変えて消えるかを確かめる。
向かいたい理由を軸に、方針を決める。
転職するかどうかを決めるのは、ほかの誰でもなく、あなた自身です。
あなたが、怖さに振り回されることなく、納得のいく道を選べることを、心から応援しています。
同じように仕事に悩むときに役立つ記事です。


セネカの手紙を読んでみたいあなたへ
この記事で紹介した言葉は、セネカが友人ルキリウスに宛てた手紙(『倫理書簡集』)に収められています。
日本語訳は、訳者の違う2冊があります。
参考文献
- セネカ『倫理書簡集』第28書簡 第1〜4節(英訳:Richard Mott Gummere 訳、Wikisource https://en.wikisource.org/wiki/Moral_letters_to_Lucilius/Letter_28)
