作り物の統計5万件のサイトが、7か月たってもChatGPTに引用され続けた。Googleからは消えたのに、論文や銀行の調査にまで広がったという実験
・AI検索の分析を手がけるPeec AIの研究者が2026年10月、AIで作った「作り物の統計」5万件を載せたサイトが、7か月たってもChatGPTに読まれ、引用され続けているという実験の結果を公表した
・サイトはGoogleの検索からはほぼ消えたが、直近30日でChatGPTが回答のためにページを開いた回数は約7万2,000回。ChatGPT経由の訪問は1万回を超えた
・作り物の数字は、学術論文や、カタールの金融グループの投資の調査などにも引用されていた。研究者は、出典を確かめることを、書く人の作業の基本にすべきだとしている
AI検索の分析を手がけるPeec AIの研究者は2026年10月、AIの回答に作り物の数字が入り込み、広がっていく様子を調べた実験の結果を、同社のブログで公表しました。
実験に使ったのは、AIで一気に作った、すべて作り物の統計を載せたサイトです。研究者は、これを「やり方の手本」ではなく「研究」として公表すると断ったうえで、AIで書かれた文章が増えるほど、根拠のない数字が本物らしく見えていく危険を指摘しています。
この記事では、実験で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
作り物の統計5万件を、約50ドルで1日で作った
まずは、実験のしかけです。
研究者のブログによると、実験の中身は次のとおりです。
・2026年3月に、新しいドメインのサイトを用意した
・AI(GPT-4.1)で、SEO、マーケティング、SNS、ネット通販などについての統計のページを、1日で5万件作った。数字はすべて作り物で、一つも確かめていない
・のちに、まとめ記事のページを1万5,000件足した。費用は合わせて約50ドル
Googleからは消えたが、ChatGPTは読み続けた
次に、その後の結果です。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 公開直後は検索に出たが、2度のGoogleの更新のあと、ほとんど表示されなくなった | |
| ChatGPT | 直近30日で、ChatGPTが回答のためにその場でページを開いた回数は約7万2,000回 |
| ChatGPTからの訪問 | 3月以降、1万回を超えた |
| ほかのサイトからのリンク | Shopify、DHL、Bluehostなどを含む、330を超えるサイトからリンクされた |
研究者は、Googleで上位に出ることと、AIに読まれて答えの材料になることは、別の問題だと指摘しています。ChatGPTは、質問を自分なりの検索に言い換え、候補を集めて並べ替え、いくつかのページを開いて答えを作るため、Googleで見えなくなったページでも、答えの材料に選ばれ続けることがある、という説明です。
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作り物の数字が、論文や銀行の調査に引用された
ここで、いちばん重い結果を見ておきます。
作り物の数字は、次のような場所で引用されていました。
・学術論文
・カタール最大の金融グループの投資の調査
・インドの経済の媒体
・カナダの情報発信者の集まりの調査
研究者は、これを「引用の洗浄」と呼んでいます。最初は何の裏付けもない数字でも、論文や銀行に引用されると、次に見つけた人やAIには「信頼できる出典のある数字」に見えてしまう、という指摘です。
研究者は最後に、同じ実験を、すべて確かめた本物の統計で行ったページも公開し、統計を載せたページはAIに引用されやすいことを確かめたとしています。
仕事はどう変わるか:AIの答えにある数字は「出典の出典」まで確かめるのが前提になる
ここからは、公表された実験をもとにした僕の見方です。
今回の実験で変わるのは、数字の「確かめ方」だと考えています。
資料や記事をAIに手伝ってもらうと、AIは、もっともらしい統計を出典つきで示してくれます。ところが今回の実験は、その出典そのものが、AIで作られた作り物であることがありうると示しました。しかも、作り物の数字が論文や銀行の調査に引用されると、次の人には信頼できる数字に見えてしまいます。
AIの答えに出典がついているだけでは、安心できない、ということです。このブログでも、数字は必ず公式の発表や、調査をした機関の元の資料で確かめてから書くようにしています。
お客様向けの提案書や、ブログの記事にAIの数字を使っている個人事業主にとっても、示された出典をたどり、調査をした機関や会社の元の資料にたどり着けるかを確かめることが、信頼を守る基本になります。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・この実験は、AI検索の分析の道具を売る会社の研究者が行ったもの。数字は研究者の測った結果
・作り物の情報を載せたサイトを作ることは、検索や各サービスの決まりに反するおそれがある。この記事は、まねをすすめるものではない
・聞いたことのない名前の統計のサイトが出典のときは、特に注意して、ほかの公式の資料で同じ数字が確かめられるかを見る
まとめ:作り物の統計がChatGPTに引用され続けた実験。AIの数字は、元の資料まで確かめる
Peec AIの研究者の実験では、AIで作った作り物の統計5万件のサイトが、Googleからは消えたあとも、ChatGPTに読まれ、引用され続けました。作り物の数字は、論文や銀行の調査にまで広がっていました。
AIの答えに出典がついていても、その出典が本物とはかぎらない、というのがいちばん大きな学びです。
AIの数字を仕事に使うときは、出典をたどり、調査をした機関の元の資料で同じ数字を確かめてから使うのがよさそうです。
出典
・Peec AI「What I learned about AI search when I made up 50,000 stats that got cited by ChatGPT」(2026年10月) https://peec.ai/blog/publish-stats-get-cited-the-tactic-that-put-my-data-all-over-the-web
