Claude Duetは、パスワードをAIに一度も見せない。Anthropicが安全の仕組みを公開、「Duetを名乗ってリンクでパスワードを求めるものは偽物」
・Anthropicが2026年10月23日、自分から仕事を進めるアプリ「Claude Duet」の安全の仕組みを詳しく公開した。柱は「大事な操作は本人が承認する」「情報を慎重に扱う」「パスワードなどのログイン情報をAIに見せない」の3つ
・パスワードは、アプリの中の専用の入力欄に打ち込むと暗号化され、AIを通らずにブラウザに届く。Duetのパスワード入力欄は、リンクやメール、claude.ai以外のサイトでは出てこない
・お金の支払いや送金、注文の取り消し、アカウントの作成は、何度承認していても「次から聞かない」の対象にならない。株の売買や口座間のお金の移動、他人のアカウントへのアクセスは、承認があってもしない
Anthropicは2026年10月23日、「Claude Duet」の安全、プライバシー、セキュリティの仕組みを説明する文書を公開しました。
Claude Duetは、メールを読み、返信を下書きし、予約をし、こちらが離れているあいだも決まった作業を続けるアプリです(Claude Duetの記事)。それだけ多くを任せるなら、「勝手に何かを送らないか」「パスワードは大丈夫か」が気になります。今回の文書は、その問いに答えるものです。
この記事では、Anthropicの説明で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
大事な操作の前には、宛先と中身を見せて承認を待つ
まずは、承認の仕組みです。
Anthropicの説明によると、次のとおりです。
・人に知られたくない内容を含むかもしれないメッセージの送信、支払い、削除の前には、操作、送り先、中身(宛先はすべて)を見せて承認を待つ
・その操作が本人の意図に合っているかを、作業をするAIとは別の自動の確認が見る。Webページに隠された指示があっても、この確認には影響しない
・支払いや送金、注文の取り消し、アカウントの作成は、何度承認していても「次から聞かない」にできない
・株などの売買、口座間のお金の移動、他人のアカウントへのアクセスは、承認があってもしない
Anthropicは、承認を求めすぎると、人は中身を見ずに押すようになる(承認疲れ)として、聞く回数の調整にも時間をかけたとしています。買い物では、Stripeの「Link」の使い捨てのカードで、その店とその金額に限って払います。本物のカード番号は、Duetにもお店にも渡りません。
情報は「絶対に出さない」と「同意があれば出す」の2段階
次に、情報の扱いです。
メールを読んで代わりに送るAIは、どの情報をどこに出してよいかを常に判断しています。たとえば、チームへの週のまとめに、本人の人事評価の話を入れてはいけません。そこでAnthropicは、送る前のメッセージを確かめる専用の仕組み(分類器)を、作業をするAIとは別に作りました。
| 段階 | 対象の例 | 扱い |
|---|---|---|
| 絶対に出さない | ログイン情報、カードや銀行口座の番号、身分証の番号 | 本人に頼まれても、だれにも送らない |
| 同意があれば出す | 健康のこと、お金のこと | 本人がはっきり認めたときだけ送る。本人の頼みそのものも同意に数える |
止められたときは、その情報を抜いて書き直し、本人の承認を求めることもあります。試験版なので、見落としや、問題のないメッセージを止めることもあるとしています。
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パスワードは、AIを一度も通らない
ここで、ログイン情報の扱いを見ておきます。
・パスワードは、Claudeのアプリの中の入力欄に本人が打ち込む。1回だけ使える鍵で暗号化され、開かれないままブラウザ用のコンピューターに届き、サイトに入力される。AIはパスワードを見ず、覚えることもできない
・つないだアプリのログインの鍵(トークン)は、AIが作業するコンピューターに入らない。外の中継役が、通信のときだけ本物の値を差し込む
・ブラウザは、AIとも作業用のコンピューターとも分けた、専用のコンピューターで動く。サイトのクッキーや仕組みは、Duetの記憶やつないだアプリに届かない
・近く、1Passwordで承認してログインする方法も加わる(1Password for Agentsの記事)
Anthropicは、ここで偽物への注意も書いています。Duetのパスワード入力欄は、本人が頼んだログインの最中に、アプリの中にだけ出てきます。リンク、SMS、メール、claude.ai以外のサイトで出てくることはありません。それ以外の場所でDuetを名乗ってパスワードを求めるものは、本物ではないとしています。
仕事はどう変わるか:AIに任せるときの確認が「パスワードを渡すか」から「承認の中身を見るか」になる
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回の説明で変わるのは、AIに仕事を任せるときの「確認のしどころ」だと考えています。
これまでは、AIにログインの先の仕事を頼むなら、パスワードをAIに渡すしかありませんでした。Duetの仕組みでは、パスワードはAIを通らず、AIが外に出せる情報にも上限があります。そうなると、使う人が気をつけるべきなのは、承認の画面で送り先と中身をきちんと見ることです。Anthropic自身が「承認疲れ」を問題に挙げているように、最後の守りは、承認を押す人の目になります。
また、AIがログインを代わりにする時代には、「AIのログイン画面」をまねた偽物が出てくることも考えておく必要があります。
取引先とのメールや請求を1人で回している個人事業主にとっても、AIに任せる前に「どの操作は必ず自分で承認するか」を決めておくことが、いちばん大事な準備になりそうです。
使う前に、確かめておきたいこともあります。
・Claude Duetは、今は米国のProとMaxの契約者向けの試験版。日本での提供時期は、公式ページに記載がない
・承認を求められたら、送り先と中身を毎回確かめる。慣れて中身を見ずに押すのがいちばん危ない
・Duetを名乗るリンクやメールでパスワードを求められても、入力しない
まとめ:Claude Duetはパスワードを見ずに働く。守りの最後は、承認の中身を見る人の目
Anthropicは、Claude Duetの安全の仕組みを公開しました。大事な操作は本人の承認を待ち、送る前のメッセージは別の仕組みで確かめ、パスワードやログインの鍵はAIに一度も見せません。
AIに仕事を任せるときの心配が、「パスワードを渡して大丈夫か」から「承認の中身をきちんと見ているか」に移ってきた、というのがいちばん大きな変化です。
AIエージェントを使うなら、承認の画面で宛先と中身を確かめる習慣を、最初につけておくのがよさそうです。
出典
・Anthropic「Claude Duet Safety, Privacy, and Security」(2026年10月23日) https://claude.com/resources/articles/claude-duet-safety-privacy-and-security
