デジタル庁が、「神Excel」をAIや機械が読みやすい形か採点するツール「Harunobu」を公開。GitHubで誰でも使え、AIでの整え方も紹介
・デジタル庁が2026年10月21日、ExcelやCSVなどの表が、機械やAIにとって読みやすい形になっているかを採点するツール「Harunobu(はるのぶ)」を紹介した。GitHubで公開されている
・セルの結合や、1つのセルに複数のデータを入れる、といった「神Excel」によくある書き方を、政府の決まりに沿って見つけ、どのセルがどの決まりに反しているかを示す
・採点は決まりに沿った方法で行うため、何度やっても同じ結果になる。結果をAIに渡して、表を整えるプログラムを作らせる使い方も紹介している
デジタル庁は2026年10月21日、表のデータが機械やAIにとって読みやすいかを採点するツール「Harunobu」を、公式のnoteで紹介しました。
役所でも会社でも、紙に印刷したときにきれいに見えるよう、セルを結合したり、方眼紙のように細かくマス目を作ったりしたExcel、いわゆる「神Excel」がよく使われています。人には見やすくても、機械やAIに読ませると、読み違いの原因になります。デジタル庁は、データを活用する時間の8割が、データを整える作業に使われている例も少なくないとしています。
この記事では、デジタル庁の発表で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
政府の「機械可読性」の決まりに沿って、表を採点する
まずは、ツールの土台になっている決まりです。
政府は2026年3月、役所が公表するデータを機械が読みやすい形にするための決まり「行政データにおける機械可読性に関するルール」を定めました。決まりは3つの段階に分かれています。
| 段階 | 満たすとできること |
|---|---|
| レベル1 | 機械が読み取り、書き写せる |
| レベル2 | 集計や分析ができる |
| レベル3 | データどうしを横断してつなぎ、集計や分析を自動にできる |
レベル1の決まりには、次のようなものが含まれています。
・1つのシートに、複数の表を載せていないか
・スペースや改行で見た目を整えていないか
・1つのセルに1つのデータだけを入れているか
・文字の色などの書式で、データの違いを表していないか
・セルを結合していないか
Harunobu:どのセルが、どの決まりに反しているかを示す
次に、Harunobuの中身です。
・Excel、CSV、TSVのファイルを読み、決まりに沿っているかを判定する
・どの行・どの列のセルが、どの決まりに反しているかを、すべて指摘する
・結果は、ほかのシステムやAIで使いやすい形式(JSON)で出す
・GitHubで公開されていて、プログラミング言語のPythonが動く環境なら試せる。画面から使える版(Web UI)もある
デジタル庁は、AIに決まりを読ませて判断させる方法もあるが、AIの判断は毎回同じ結果になるとはかぎらないと指摘しています。Harunobuは、決まりに沿った方法で判定するため、100回採点すれば100回とも同じ結果が返る、という点を重視したとしています。名前は、江戸時代の浮世絵師・鈴木春信から取ったそうです。
スポンサーリンク
AIには「表を直接直させず、直すプログラムを作らせる」
ここで、AIと組み合わせた使い方を見ておきます。
デジタル庁は、Harunobuの採点の結果を使って、AIに表を整えさせる手順を紹介しています。
1. 読みにくい表を、Harunobuで採点する
2. 採点の結果と表を、AIに読ませる
3. AIに「表を整えるプログラム」を作らせる
4. そのプログラムを動かして、表を整える
5. 整えた表を確かめ、必要ならもう一度Harunobuで採点する
大事なのは3つ目で、AIに表を直接直させるのではなく、直すためのプログラムを作らせることだとしています。プログラムなら、同じ表に何度使っても同じ結果になるからです。デジタル庁は、無料で使えるChatGPTで、この手順を試した例も載せています。
仕事はどう変わるか:AIに表を読ませる前に「表の作り方」を見直すようになる
ここからは、公式の発表をもとにした僕の見方です。
今回のツールで変わるのは、表の「作り方の考え方」だと考えています。
AIに売上の表やお客様の一覧を読ませて分析させる場面は増えています。ところが、見た目を整えるためにセルを結合した表や、1つのセルに複数の情報を入れた表は、AIが読み違える原因になります。Harunobuのように、どこが読みにくいかを具体的に示してくれる道具があると、AIに渡す前に表を直しやすくなります。
そして、直すときもAIに直接直させるのではなく、直すプログラムを作らせる、というデジタル庁の考え方は、AIの答えのぶれを避けるための、仕事全般に使える工夫だと感じました。
見積もりや売上をExcelで管理している個人事業主にとっても、これから作る表は、セルを結合せず、1つのセルに1つの情報だけを入れる形にしておくと、AIに分析を頼みやすくなります。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・Harunobuは、採点するツール。表そのものを直すわけではない
・使うには、Pythonが動く環境の用意など、ある程度の知識が要る
・お客様の情報を含む表をAIに読ませるときは、個人情報の扱いに気をつける
まとめ:デジタル庁が「神Excel」を採点するHarunobuを公開。AIに渡す前に、表の作り方を見直す
デジタル庁は、表が機械やAIにとって読みやすいかを、政府の決まりに沿って採点するツール「Harunobu」をGitHubで公開しました。どのセルがどの決まりに反しているかを示し、AIに表を整えるプログラムを作らせる使い方も紹介しています。
AIにデータを活用させる前に、まず表の作り方そのものを、機械が読みやすい形に整えることが大切になってきた、というのがいちばん大きな学びです。
これから作る表は、セルを結合せず、1つのセルに1つの情報だけを入れる形にしておくのがよさそうです。
出典
・デジタル庁「Excelの機械可読性を判定するツール『Harunobu』のご紹介」(2026年10月21日) https://digital-gov.note.jp/n/n99cb228cc81c
・デジタル庁 GitHub「machine_readability_rule」 https://github.com/digital-go-jp/machine_readability_rule
