NVIDIAが、文字起こしのAI「Nemotron 3.5 Transcribe」を公開。日本語を含む40の言語で、誰が話したかの区別と翻訳まで1つでこなし、商用でも使える
・NVIDIAが2026年10月28日、文字起こしのAI「Nemotron 3.5 Transcribe」を公開した。中身(重み)を公開するオープンウェイトのモデルで、会社が自分の機械で動かせる
・40の言語に対応し、日本語は文字起こし、英語との翻訳、複数の話し手の区別のすべてで「実用の水準」とされている。最長1時間の録音を扱え、録音について質問することもできる
・使い方の決まり(ライセンス)は「OpenMDW-1.1」で、商用にも使える。ただし、今の版を動かすには、データセンター向けの高性能なGPUが前提になる
NVIDIAは2026年10月28日、録音を文字にするAI「Nemotron 3.5 Transcribe」を公開しました。
会議の録音を文字にし、誰が話したかを分け、必要なら翻訳する、という作業は、これまで別々の道具を組み合わせることが多くありました。Nemotron 3.5 Transcribeは、それを1つのモデルでこなし、しかも中身を公開しているので、録音を外のサービスに送らずに、自分たちの機械で処理できます。
この記事では、NVIDIAの発表とモデルの説明書きで分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
文字起こし、話し手の区別、翻訳を1つのモデルで
まずは、できることです。
NVIDIAの発表とモデルの説明書き(モデルカード)によると、次のとおりです。
・40の言語の録音を、文字にする。言いよどみまでそのまま書く形と、読みやすく整えた形を選べる
・誰が話したかを区別して、話し手ごとに分けて書く
・英語と各言語のあいだで、話した内容を翻訳する
・録音について質問し、答えを返す。たとえば「この会議で決まったことを挙げて」と頼める
・専門の言葉や書き方の決まりを、指示の中で伝えられる
NVIDIAは、医療、金融、お客様の対応など、専門の言葉が多い分野で役立つとしています。
日本語は「実用の水準」、録音は最長1時間
次に、日本語と長さの対応です。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 言語 | 40の言語 |
| 日本語 | 文字起こし、英語との翻訳、複数の話し手の区別、言語の混ざった録音のすべてに対応し、品質は「実用の水準(Production-ready)」 |
| 録音の長さ | 最長1時間 |
| 録音について質問する機能 | 評価は英語だけで行っていて、ほかの言語では安定して動かない場合がある |
| 話し手の区別 | 録音の中で話し手を分けるもので、実際に誰なのかを特定するものではない |
学習には、重なりを除いて約172万時間の音声を使ったとしています。
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商用にも使えるが、動かすには高性能なGPUが要る
ここで、使い方の決まりと動かす環境を見ておきます。
・使い方の決まりは「OpenMDW-1.1」。モデルカードでは、商用にも商用以外にも使えるとしている
・NVIDIAの開発者向けのサイト(build.nvidia.com)とGitHubで、10月28日に公開された
・モデルカードでは、動かす例として、データセンター向けのGPU(H100、80GB)1枚を挙げている。NVIDIAの小型のAI用パソコン「DGX Spark」にも対応する
・NVIDIAは、手元の機械で動かしやすい軽量版を、近く出す予定としている
仕事はどう変わるか:社外に出せない録音も、社内で文字にできる
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回のモデルで変わるのは、会議の録音の「置き場所の選択肢」だと考えています。
これまで、精度の高い文字起こしは、録音を外部のサービスに送って処理するのが一般的でした。社外秘の会議や、お客様との相談の録音は、外に出しにくいものです。中身が公開され、商用にも使えるモデルなら、会社の中のサーバーで文字起こしと話し手の区別、翻訳まで済ませる仕組みを作れます。
ただし、今の版はデータセンター向けのGPUが前提で、ふつうのパソコンですぐ試せるものではありません。まずは、文字起こしのサービスを作る会社や、社内の仕組みを作る部門が使う段階です。文字起こしのAIは、10月にMistralの「Voxtral 3」も出ていて、選べる道具が増えています。
取材や打ち合わせの録音を文字にしている個人事業主にとっても、こうしたモデルを組み込んだ文字起こしのサービスが増えれば、日本語の会議の記録を安く、手元に近い形で作れるようになりそうです。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・今の版を動かすには、データセンター向けの高性能なGPUが要る。手元のパソコン向けの軽量版は、これから出る予定
・録音について質問する機能は、英語でしか評価されていない
・話し手の区別は、録音の中で声を分けるもので、本人の確認には使えない
・人の会話を録音して処理するときは、参加者に録音と文字起こしのことを伝えておく
まとめ:Nemotron 3.5 Transcribeで、日本語の文字起こしと話し手の区別、翻訳を1つのモデルで
NVIDIAは、40の言語に対応した文字起こしのAI「Nemotron 3.5 Transcribe」を、中身を公開する形で出しました。日本語は文字起こし、翻訳、話し手の区別で実用の水準とされ、商用にも使えます。
精度の高い文字起こしを、外のサービスに頼らず、自分たちの機械で動かせる選択肢が広がってきた、というのがいちばん大きな変化です。
社外に出しにくい録音を扱っている会社は、こうしたモデルを社内で使えるかを、情報システムの担当と一緒に確かめてみるのがよさそうです。
出典
・NVIDIA Blog「Thin, Light and Built for Everything: NVIDIA RTX Spark Windows Laptops Gain New Models, Agent Tools and Games」(2026年10月28日) https://blogs.nvidia.com/blog/local-ai-rtx-spark-laptops-updates-models-agents-games/
・Hugging Face「NVIDIA-Nemotron-3.5-Transcribe-30B-A4B」(モデルカード) https://huggingface.co/nvidia/NVIDIA-Nemotron-3.5-Transcribe-30B-A4B
