青年期・壮年期の栄養~年代別の栄養~
特徴
(1)青年期
青年期(18~39歳)は、身体発達がほぼ完了し、内分泌などの機能が整い、生殖可能な体に変化する時期です。
さらに精神的には、自分自身の社会的な役割や責任を自覚する時期です。
この時期には多くの生活習慣が定着するため、栄養の偏りや生活の不摂生が重なると、中高年になってから生活習慣病などの悪影響が出る可能性があります。
また、喫煙や飲酒の習慣の多くはこの年代からはじまるため、未成年の喫煙や飲酒を防止することはもちろん、20歳以降の喫煙習慣や多量飲酒を控えることも大切です。
(2)壮年期
壮年期(40~64歳)は、社会的にも充実した時期です。
働き盛りともいえるが過労やストレスが重なる時期でもあります。
体の機能は一部に老化がみられるようになり、特に視力の衰えが顕著です。
何らかの生活習慣病を発症していても、潜在的で自覚症状がないことが多いです。
50歳前後は更年期障害に悩むころです。
また、定年退職など社会的に大きく変動する時期で、老化現象も顕著となる傾向があります。
生活習慣病の症候も現れてきます。
青年期・壮年期の目標は健康の維持と増進を図ること、生活習慣病を予防することです。
日本人の平均寿命が伸びたとはいえ、青年期・壮年期からの罹患率や生活習慣病は依然増加しています。
これは今までの食習慣が深く関係しており、また高齢期に移行する疾病などは、青年期・壮年期の食生活の影響が大きいです。
高齢期も健康にすごすためには、この時期に生活習慣病を予防し、労働の質と量、環境などを十分に配慮した栄養管理が必要となります。
青年期・壮年期の栄養の問題と対策
(1)慢性疲労
働き盛りである青年期・壮年期に、疲労を訴える人が多いです。
また、疲労の状態が6カ月以上持続している状態を慢性疲労といいます。
疲労を自覚している人の中には、作業量や活動量の低下もみられ、日常生活への影響が現れています。
疲労の原因を自覚している人の半数が「仕事」を理由に挙げており、「仕事の量が多い」「長時間労働」など、無理をして休養もとらずに働くことが、疲労を慢性化する原因にもなっています。
また、生活習慣病を抱えた人に疲労感の強さが目立ちます。
疲労が慢性化する背景には、栄養の偏り、欠食、食事の時刻が不規則であるといった改善されない食生活をはじめとした生活習慣の乱れが関係しています。
(2)肥満
肥満の最も大きな原因は、エネルギー量の過剰摂取です。
食事で摂取エネルギー量が消費エネルギー量を上回ると、余分なエネルギーが体内で中性脂肪につくり変えられて脂肪細胞に蓄積されるため肥満を招きます。
また、運動不足で消費エネルギー量が低下していると代謝機能が低下して太りやすくなります。
夜遅く食事をすることや過度の飲酒などの食習慣の乱れも肥満につながります。
基礎代謝量は加齢とともに低下します。
そのため、青年期後半以降になっていも20代までの食生活と同じ内容であるとエネルギー量の過剰摂取となり肥満を招くことになります。
肥満の人が脂質異常症、高血圧、糖尿病などを複数併せ持つ状態を「メタボリックシンドローム」と呼び、特に壮年期以降の男性に多くみられます。
メタボリックシンドロームは食べすぎや運動不足など、悪い生活習慣の積み重ねが原因となって起こるため、生活習慣を見直すことによって予防・改善が期待できます。
(3)朝食の欠食
青年期・壮年期においても、1日の食事の中で欠食が最も多いのは朝食です。
遅い時刻まで働いていると夕食の時刻が遅くなり、就寝時刻も遅くなります。
そのため、翌朝に疲れが残り、しっかり朝食が食べられなかったり、欠食しがちになってしまうことも多いです。
朝食は1日の原動力となり、働き盛りの成人にとっても朝食の欠食は重大な問題です。
欠食は生活のリズムを乱し、栄養素の摂取不足から貧血をも招き、好ましい状態ではありません。
これまでの生活に定着していることも多く、改善することは困難だが、少しずつ食べるように習慣を付け、食生活を改善していく必要があります。
(4)外食
毎日の昼食に外食を利用する人が多く、また、仕事の都合などで夕食を外食で済ませる機会が多いのも青年期・壮年期の特徴です。
選ぶ料理によって栄養バランスは大きく異なるため、何を選ぶかが重要です。
また、外食の場合、炭水化物や脂質に偏りやすく、食塩の取りすぎになりやすいです。
外食の際には、野菜や乳製品、果物などを積極的に取るように心掛けたい。
(5)飲酒
アルコールを摂取すると、食欲が増して食事の適量を守れず、暴飲暴食を繰り返しやすくなります。
また、エネルギーの高いおつまみばかりを食べることでエネルギーの取りすぎになります。
そのため、肝臓や膵臓などの消化器官や循環器官に負担をかけます。
アルコールによる健康被害には急性のものと慢性のものがあります。
急性のものは、短時間に多量のアルコールを摂取することによって起こります。
一方、慢性のものは、長年の飲酒習慣によって起こり、主に40歳以降から問題になります。
1日に飲む量が多いほど、また飲酒期間が長いほど起こりやすいです。
お酒は飲みすぎると害になりますが、適量を守ることでストレス解消やリラックス効果が得られ、1日の疲れを癒す効果があります。
-お酒を有益なものにするための注意点-
<自分のペースで、適量にとどめて飲む>
アルコール代謝能力には個人差があり、その日の体調によっても異なりますが、飲む速度を早めると、血中のアルコール濃度が急激に高くなり、早く酔うだけでなく、体への障害が生じやすくなります。
<食べながら飲む>
空腹状態でたくさんのアルコールを摂取すると胃腸が強く刺激されます。
また、胃腸に何もない状態ではアルコールが吸収されやすく、血中アルコール濃度が高くなります。
一緒に食事を取ることで、アルコールの吸収ペースが緩くなり、胃腸障害の予防や血中アルコール濃度を低く保つことができます。
<深夜まで飲まない>
アルコールを肝臓で分解するには時間がかかり、深夜まで飲んでいると、就寝中でも肝臓は働き続け、翌朝まで体内にアルコールが残ってしまいます。
毎日肝臓を酷使すると肝臓に障害が出てくるため、週に2回は休肝日をつくるようにします。
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