おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密~高井浩章 インプレス~
大人になってから、「もっと早いうちにお金について学んでおけばよかった。」と後悔していることはありませんか?
そんな後悔を自分の子供にはさせたくないもの。
子供のうちからお金に関する知識の土台を築かせてあげたい。
そのためにぴったりな本を紹介します。
2017年に著者が個人出版したkindle版は、なんと累計1万部を突破!
ついに待望の書籍が発刊されたというほどの人気の一冊。
それが「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」です。
目次
あなたは子供のころからお金について十分な教育を受けてきましたか?
僕は学校でお金についてまともに学んだ記憶はありません。
(まあ昔のことなので覚えていないだけかもしれませんが…)
ですから、お金に対して無知なまま大人になり、人生の大切な選択を積み重ねてきました。
今振り返ると、お金について子供のころからちゃんと学んでおけば良かったと思うことが山ほどあります。
「お金の稼ぎ方」「投資についての考え方」など、お金のことを子供のころから知っていれば、きっと今とは全く違った人生を選択していたことでしょう。
イー・ラーニング研究所が2016年6月17日に発表した子供を持つ親を対象にしたアンケート結果では、「子供のころに学んでおけばよかったこと」という問いに対して「お金の稼ぎ方(複数回答)」と回答した人が9割以上もいたそうです。
僕と同じように、多くの日本人が子供のころに学んでこなかったお金に対する知識の必要性を大人になってから痛感していることがよくわかります。
僕自身は大人になってからお金について学ぶようになりましたが、もっと早く学んでおけば良かったと思うことがよくあります。
ですから、自分の子供にはもっと早い段階に学んでもらい、人生を無駄に遠回りしてほしくないと思っています。
子供が小学校高学年ぐらいになったら、お金について学ぶ教材を渡したい。
そう考えているときに、出会えたのが「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」なんです。
著者が自分の娘が大人になる前に最低限知ってほしい情報を詰めた本
元々、本書は株式や債券などのマーケットや金融業界、国際ニュースの取材や編集を20年にもわたってやってきた著者が、自分の娘が大人になる前に最低限知ってほしいと思う情報を詰めて作った小説です。
娘さんに経済やお金の仕組みがわかる楽しい読み物を探しましたが、しっくりくる本が見つからず、いっそ自分で書いてしまおうと思ったのがきっかけだそうです。
経済に興味がない状態の娘さんが、飽きることなく楽しめるようにと、本書は金融・経済系学園ドラマに仕立てられています。
日本には「お金は汚いもの」とか「金に執着するのは卑しい」といった悪いイメージが根付いています。
また経済や金融の話はややこしくて敬遠してしまう方が多いもの。
お金は汚くもなければ難しくもなく、大切で面白いものということが非常にわかりやすく理解できる内容になっています。
娘さんが小学5年生のときに作りはじめただけあって、子供が理解しやすい内容になっています。
それだけでなく、大人が経済について見つめ直すのにも大いに役立つ内容です。
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ストーリーに引き込まれ登場人物と一緒に考えさせられるので理解が深まる
中学校2年生の主人公が運悪く(?)放り込まれた「そろばん勘定クラブ」
その奇妙なクラブに集まった謎の大男、大富豪の娘、そして平凡な僕(主人公)。
その三人がクラブ活動や宿題を通じて、お金や経済の仕組みを紐解いていく。
ストーリーに引き込まれて読み進めていくうちに、自分もクラブに参加して一緒に考えているような気分になっています。
この参加感がより理解を深めさせてくれます。
登場人物の紹介
本書に登場する主な人物は三人。
一緒にお金や経済について学んでいく仲間を紹介します。
サッチョウさん(木戸隼人・主人公)
どこにでもいる普通の中学2年生。
小学校からバスケ部で、部活がない週末は公園でサッカーに燃える。
消防士である父親がヒーロー。
ひょんな巡り合わせで「そろばん勘定クラブ」に入ってしまう。
ビャッコさん(福島乙女)
町一番の大富豪の娘。
成績は常にトップクラスで、母譲りのスマートな容姿も相まって、誰からも一目置かれる存在。
物事をとことん突き詰める頑固な一面を持つ。
家族の手掛けるビジネスについて悩んでいる。
カイシュウさん(江守先生)
「そろばん勘定クラブ」の顧問にして2メートルを超す大男。
バイリンガルのハーフっぽいが、経歴等は不明。
巨体が楽に収まるベンツが愛車。
紅茶とスコーンをこよなく愛する。
見た目は40代。
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ストーリーを楽しみながらお金に対する土台をつくろう!
「この世には、おカネを手に入れる方法が6つあります」
「かせぐ」「ぬすむ」「もらう」「かりる」「ふやす」とあり、残る「6つ目の方法とは何か?」
中学2年生になった「僕」こと「サッチョウさん」。
サッチョウさんは、バスケが好きな平凡な男の子。
そんな「サッチョウさん」が突然放り込まれたのは、謎の大男「カイシュウさん」が顧問を務める「そろばん勘定クラブ」というヘンテコなクラブ。
しかも、メンバーは大富豪の美少女「ビャッコさん」との二人きり。
変な顧問は「この世には、おカネを手に入れる方法が6つあります」と妙なことを言いはじめ、そこから謎解きのようなストーリーが始まっていきます。
「かせぐ」「ぬすむ」「もらう」「かりる」「ふやす」、そして残る「6つ目の方法」とは?
クラブでは、経済成長の仕組み、無謀な借金の怖さ、長期投資と「神の見えざる手」の関係などから、生活保護や貧富の格差、ビットコイン等の仮想通貨、オフショアやタックスヘイブンなどの時事問題と幅広い分野を扱います。
また、クラブ活動の中で次々と繰り出される宿題は普通の問題ではありません。
思わぬ珍問・難問に立ち向かう2人の生徒。
そして「そろばん勘定クラブ」の3人を取りまく人たちの様々な思惑や過去が絡み合い、物語の後半は思いもよらぬ展開へと発展していきます。
テンポよく進むストーリーに吸い込まれ、自分も生徒2人と一緒にお金について考えされられる。
そして、ただ読んでいるのと違って参加感があり、経済のカラクリがストンと腹の中に落ちてくるのが感じられます。
本書を読み進める内に、お金についての土台が自然と身についていくという名著です!
根底にあるテーマは「働き方」
この本は「おカネの教室」というタイトルから、お金について学ぶことがメインに見えますが、その根底にはもう一つのテーマがあります。
それは「働き方」です。
お金を増やす6つの方法「かせぐ」「ぬすむ」「もらう」「かりる」「ふやす」そして「6つ目の方法」
本を読み進めていると、これらの方法について考えているうちに、自然と職業について考えさせられる流れになっています。
自分が働くことを通じて、人類にどんな貢献をしていくのか。
そんな問いかけをされているのを感じるはずです。
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目次の紹介
本を読んで学ぼうとするときに大切なのは、最初に目次を読むこと。
すると本の全体像がイメージでき、脳に情報をインプットしやすくなります。
それでは、本書の目次を紹介します。
<4月>
1時間目 そろばん勘定クラブへようこそ
2時間目 お金を手に入れる6つの方法
3時間目 役に立つ仕事 立たない仕事
<5月>
4時間目 リーマンショックはなぜ起きた
放課後 図書室で会いましょう
5時間目 もうけは銀行家、損は国民に
放課後 先生とお父さんは同級生?
6時間目 いる?いらない?最古の職業
7時間目 戦争と軍人
<6月>
放課後 似たもの親子 似てない親子
8時間目 「フツー」が世界を豊かにする
放課後 GDPとフツーの微妙な関係
9時間目 キーワードは「持ち場を守る」
放課後 健康で文化的な最低限度の家族団らん
10時間目 資本主義・社会主義・民主主義
<7月>
11時間目 働くということ
12時間目 「タマゴ」がわかれば世界がみえる
放課後 たかが500円、されど500円
13時間目 お金の借り方、教えます
放課後 宿題は借金100万円
14時間目 貸すも親切 貸さぬも親切
放課後 お金を「ふやす」は無理難題?
<8月>
15時間目 低金利の真犯人は「市場の力学」
16時間目 株式投資と「神の見えざる手」
17時間目 貧富の格差が広がる理由
放課後 福島家のいちばん長い日
放課後 アイスクリームのお返し
18時間目 6番目の方法
<9月>
課外授業
あとがき
著者紹介:高井浩章氏
新聞記者
1972年、愛知県生まれ。
経済記者・デスクとして20年超の経験をもつ。
専門分野は、株式、債券などのマーケットや資産運用ビジネス、国際ニュースなど。
三姉妹の父親で、初めての単著となる本書は、娘に向けて7年にわたり家庭内で連載していた小説を改稿したもの。
趣味はレゴブロックとスリークッション(ビリヤードの一種)。
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まとめ
小中学生がお金の土台をつくるために、楽しみながら、考えさせながら読むことができる良書です。
またお金のことをよく知らぬまま大人になった人が学び直すのにもピッタリ。
青春の甘酸っぱさやほろ苦さを感じさせるストーリーを楽しみながら、お金について学ぶことができる「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」
おすすめです。
【参考】金融教育の現状(日本とアメリカ・イギリスの比較)
金融教育の現状をみると、日本も僕が子供のころに比べれば改善されてきているようです。
とはいえ、まだまだ不十分な状態であるのが現状です。
参考に、日本より圧倒的に金融教育が進んでいるアメリカ・イギリスとの比較を紹介します。
日本の金融教育の現状
日本ではお金についての教育はないに等しいような状況にあると感じています。
現在では、中学校3年生から金融経済教育が始まる場合が多いですが、高校3年まで毎年1~5時間程度の授業時間という学校が大半とのこと。
半数以上の教師が授業時間も内容も不十分だと考えているそうです。
詳しくはこちら
http://www.jsda.or.jp/manabu/kenkyukai/content/jittai_rep.pdf
アメリカ・イギリスの金融教育との比較
アメリカやイギリスでは小中学生の段階で金融教育がしっかり盛り込まれている学校が多く、家計管理、ライフプランニング、リスクとリターンのトレードオフ、分散投資と長期投資、金融商品の選択、キャリア形成などのパーソナルファイナンスが中心。
実生活で使う内容なので、実践的で身に付きやすいのが特徴です。
これに対し、日本では貨幣の役割や金融市場の仕組み、景気変動、金融政策や財政政策 などパブリックファイナンスが中心。
内容が身近に感じられず、身に付きにくいのが特徴。
アメリカ・イギリスが小中学校でしっかり金融教育を受け、内容も実践的で身に付きやすいのに対し、日本は教育を受ける時間が短いだけでなく、内容が身に付きにくいのが現状です。
この状況である限り、親がどれだけ子供に対して金融教育をすることができるかが、我が子の将来の選択に大きき影響を与えると考えています。