仕事が進まないとき「今日の仕事」を1つつかめば手が動き出す!ローマの哲学者の対策を紹介
やらなければいけない仕事があるのに、なかなか進まない。
机に向かっても手が止まり、メールを見たり、ほかの用事を片づけたりしているうちに、気づけば夕方になっている。
そんなふうに、仕事が進まなくて焦ってしまうことはありませんか?
仕事が進まないときは、「今日の仕事」を1つだけつかむことで、手が動き出します。
なぜなら、仕事が進まないときの多くは、やることが多すぎて、どこから手をつければいいのかが決まっていないから。
実はこの考え方、約2000年前のローマの哲学者セネカが、友人に宛てた最初の手紙に書き残したもの。
セネカは、今日の仕事をしっかりつかめば、明日の仕事に頼らずにすむ、と書いていました。
その言葉が、進まない仕事を前に進めるための大きなヒントになります。
この記事を読むとわかること
- 仕事が進まなくなってしまう理由
- ローマの哲学者セネカが書いた「今日の仕事をつかめ」という考え方
- 「今日の仕事」を1つつかんで、手を動かし始める方法
この記事を読めば、仕事が進まない日でも、目の前の1つから手をつけられるようになります。
仕事が進まないのは、やることが多すぎてどこから始めるか決まっていないから

仕事が進まないと、自分を責めたくなるかもしれません。
でも、進まない理由は、多くの場合、もっと単純なところにあります。
多くの場合、仕事が進まないのは、やることがたくさんありすぎて、何から手をつけるかが決まっていないからです。
決まっていないから、手が止まり、ほかのことに手が伸びてしまうのです。
ここでは、仕事が進まなくなってしまう理由を見ていきます。
やることが多いと、どれから始めればいいか迷ってしまう
仕事が進まない日の頭の中は、こんなふうになっています。
・あの資料も作らなければならない
・このメールにも返事をしなければならない
・会議の準備も、まだ手をつけていない
やることが多いほど、どれから始めればいいか迷います。
迷っているあいだに時間が過ぎ、結局どれも進まないまま1日が終わってしまうのです。
「あとでやろう」が重なると、仕事はどんどん重くなる
手をつけにくい仕事ほど、「あとでやろう」と後回しにしてしまいます。
・大きな仕事は、時間がまとまってとれるときにやろう
・気が乗らない仕事は、明日の朝にやろう
・難しい仕事は、もう少し考えてからやろう
でも、後回しにした仕事は、消えてなくなるわけではありません。
重なるほど、頭の中で大きく重くなり、ますます手をつけにくくなってしまうのです。
では、進まない仕事を、どう動かし始めればいいのか。
そのヒントを、約2000年前のローマの哲学者セネカが、友人への手紙に書き残しています。
セネカに学ぶ|今日の仕事をつかめば、明日に頼らずにすむ

セネカは、約2000年前のローマで活躍した哲学者です。
皇帝ネロの教育係を務めたことでも知られています。
そのセネカが、晩年に友人ルキリウスに宛てて書いた手紙が、『倫理書簡集』としてまとめられています。
その最初の手紙は、時間の使い方について書かれたものでした。
ここでは、セネカが友人に伝えた、時間と仕事についての言葉を紹介します。
「今日の仕事をつかめば、明日の仕事に頼らずにすむ」
セネカは、第1書簡の中で、友人にこう書いています(訳は筆者によるもの)。
> 1時間1時間を、しっかりとつかみなさい。今日の仕事をつかめば、明日の仕事にそれほど頼らずにすむ。先延ばしにしているあいだに、人生は駆け足で過ぎていく。
「あとでやろう」と思っているあいだにも、時間は止まってくれません。
セネカは、明日をあてにするのではなく、今日の仕事を今日つかむことを、友人にすすめたのです。
「大部分の時間は、目的に合わないことをしているうちに過ぎていく」
セネカは、同じ手紙の冒頭で、時間の過ぎ方について、こうも書いています。
人生の多くは、よくないことをしているうちに過ぎていく。
かなりの部分は、何もしないうちに過ぎていく。
そして人生のすべてが、目的に合わないことをしているうちに過ぎていく、と。
仕事が進まない日も、何もしていないわけではありません。
ほかの用事を片づけたり、メールを見たりしています。
ただ、それが「今いちばんやるべきこと」ではないので、肝心の仕事が進まないのです。
ここからは、セネカの考え方を、仕事が進まないときに使える手順にして紹介していきます。
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仕事が進まないとき「今日の仕事」を1つつかめば手が動き出す

仕事を進めるために必要なのは、気合いを入れて全部を片づけようとすることではありません。
今日いちばんやるべき仕事を1つだけ選んで、しっかりつかむことです。
1つ決まれば、迷う時間がなくなり、手が動き始めます。
それでは、4つの手順に分けて紹介します。
手順1:やることを、すべて書き出す
まず、頭の中にあるやることを、すべて紙に書き出します。
・〇〇の資料を作る
・取引先にメールを返す
・会議の準備をする
・経費の精算をする
頭の中にあるうちは、やることが大きなかたまりに感じられます。
書き出すと、1つずつ分けて見られるようになり、それだけで少し気持ちが軽くなります。
手順2:その中から「今日の仕事」を1つだけ選ぶ
書き出した中から、今日いちばんやるべき仕事を1つだけ選びます。
・締め切りがいちばん近いもの
・終われば、ほかの仕事も進めやすくなるもの
・ずっと後回しにしていて、気にかかっているもの
選ぶのは1つだけです。
セネカの言う「今日の仕事をつかむ」とは、この1つを決めることから始まります。
手順3:最初の15分でできる「入り口」を決めて、すぐ始める
選んだ仕事の、最初の15分でできる小さな入り口を決めて、すぐに始めます。
・資料を作る → まず、見出しだけ書いてみる
・メールを返す → まず、宛先と最初の1行だけ書く
・会議の準備 → まず、話すことを3つ箇条書きにする
大きな仕事は、全体を見ると手が止まります。
15分でできる入り口なら、迷わず手をつけられます。
一度手が動き始めれば、そのまま続けられることも多いのです。
手順4:「今日の仕事」が終わるまで、ほかのことは後回しにする
今日の仕事に手をつけたら、それが終わるまで、ほかのことは後回しにします。
・メールの確認は、決めた時間だけにする
・スマホの通知は、しばらく切っておく
・ほかの仕事が気になったら、手順1の紙に書き足して、また戻る
セネカの言う「目的に合わないこと」に、時間を持っていかれないようにするのです。
今日の仕事が1つ終わるだけで、1日の手ごたえは大きく変わります。
目の前の仕事に集中するための、ローマ皇帝の考え方

今日の仕事を1つ選んでも、ほかのことが気になって、集中できない日もあります。
そんなときは、目の前の1つに向き合う気持ちの持ち方を、少し変えてみるのも1つの方法です。
約1850年前のローマ皇帝マルクス・アウレリウスは、目の前の仕事への向き合い方を、日記に書き残しています。
ここでは、目の前の仕事に集中するための、皇帝の考え方を紹介します。
「1つひとつの行いを、人生最後の行いのようにせよ」
マルクス・アウレリウスは、『自省録』第2巻に、こう書いています(訳は筆者によるもの)。
> どんな時も、今手がけていることを、心をこめてやりとげることを考えよ。そして、ほかのすべての考えから自分を解き放て。1つひとつの行いを、人生最後の行いであるかのようにすれば、そうできる。
これが最後の仕事だと思えば、ほかのことに気をとられている余裕はありません。
目の前の1つに、心をこめて取り組めるはずです。
もちろん、本当に最後というわけではありません。
ただ、今手がけている1つに、ほかの考えをはさまずに向き合う。
その心がまえが、進まなかった仕事を、少しずつ前に進めてくれるのです。
まとめ:仕事が進まないときは「今日の仕事」を1つつかんでみよう!

最後に、この記事のポイントをまとめます。
仕事が進まないのは、やることが多すぎてどこから始めるか決まっていないから
やることが多いと、どれから始めればいいか迷ってしまいます。
「あとでやろう」が重なると、仕事はどんどん重く感じられるようになります。
セネカは「今日の仕事をつかめば、明日の仕事に頼らずにすむ」と書いた
先延ばしにしているあいだに、人生は駆け足で過ぎていく。
人生の多くは、目的に合わないことをしているうちに過ぎていく、とセネカは書いています。
やることを書き出し、今日の仕事を1つ選んで、15分でできる入り口から始める
やることを、すべて書き出す。
その中から、今日の仕事を1つだけ選ぶ。
最初の15分でできる入り口を決めて、すぐ始める。
今日の仕事が終わるまで、ほかのことは後回しにする。
仕事が進まない日は、誰にでもあります。
あなたが、目の前の1つから手をつけて、少しずつ仕事を前に進めていけることを、心から応援しています。
同じように仕事に悩むときに役立つ記事です。


セネカの手紙を読んでみたいあなたへ
この記事で紹介した言葉は、セネカが友人ルキリウスに宛てた手紙(『倫理書簡集』)に収められています。
日本語訳は、訳者の違う2冊があります。
参考文献
- セネカ『倫理書簡集』第1書簡 第1〜2節(英訳:Richard Mott Gummere 訳、Wikisource https://en.wikisource.org/wiki/Moral_letters_to_Lucilius/Letter_1)
- マルクス・アウレリウス『自省録』第2巻第5節(英訳:George Long 訳、The Internet Classics Archive https://classics.mit.edu/Antoninus/meditations.html)
