【薬を服用するときの注意と扱い方】

薬の大切なパートナーは水
薬を服用するときは、消化管のどの部位で溶かし、よりよく吸収させるかが効果を高める条件となります。
そこで薬の各種剤形(粉末、顆粒、錠剤、カプセルなど)を考案し、各部所に確実に溶けて吸収できるようにつくられています。
薬の溶解、吸収を早め、吸収されたものがさまざまな化学変化を行って、体に合った形につくり変えられるためには、水の存在が必要です。
たとえ、胃液や固有の腸液分泌されていても、水がないと薬が期待通りの溶け方ができずに効力を発揮できなくなってしまいます。
特に、カプセルは食道にひっかかりやすく、薬によってはその部分に炎症や潰瘍ができる恐れもあります。
そのようなことを避けるためにも、十分な水または白湯で服用することによって目的部位で確実に薬を溶かし、吸収を早めて効力を引き上げるようにすることが大切です。
決められた時間に、決められた用量で
薬の服用時間には「食前」「食後」「食間」などの指定があります。
これらの服用時間は、消化管からの吸収を高め、胃腸障害を防ぐためなど、さまざまな医学的、薬学的根拠に基づいて決められています。
<薬の服用時間>
⚫︎食前
食事前30分以内
⚫︎食直後
食事のあとすぐ
⚫︎食後
食事後30分以内
⚫︎食間
食事と食事の間、食事の後2〜3時間くらい後
⚫︎就寝前
就寝直前〜30分くらい前
⚫︎頓服
熱や痛みなど、つらい症状があるときに服用するため、時間は指定されていない
〜薬の服用時間と食事の関係〜
日本で服用されている薬の多くは、食後30分以内に飲むことを指示されています。
その理由は、胃の中にまだ食べ物が残っているうちに薬を飲めば、胃を荒らさないですむからです。
逆に、空腹時に飲む食欲増進剤や消化性潰瘍の薬は、食物と一緒に飲むと薬の吸収が悪くなり、その効果が薄れてしまうので食前や食間に服用します。
つまり、胃の中の食物によって効き目が大きく左右される薬は、空腹時に飲む必要があります。
薬の効果を一定に保つためにも飲む回数、飲む量を守ることが大切です。
薬の効果を感じられないからといって飲む回数を勝手に増やすと、薬物血中濃度が有効域を超えて毒性域に入り、副作用を起こしてしまいます。
逆に、薬の作用が強く感じるからといって勝手に飲む回数を減らすと、無効域に入ってしまいます。
必ず医師に相談してから服用方法を変えなければなりません。
また、飲み忘れたからといって2回分をまとめて飲むことも薬物血中濃度を高める原因になるので避けることです。
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用途の相反する薬の同時服用は避ける
いくつもの薬を服用する場合、効能が全く相反するものが混入する場合があります。
医療機関で処方し、投薬される薬にはまず心配はありませんが、自由に購入できる一般用医薬品を服用する場合には注意が必要です。
例えば、胃腸の働きをよくする薬と腹痛を抑える薬を同時に服用すると、一方では働きを活性化し、もう一方では働きを抑制するので、相殺されて効き目が薄れてしまいます。
もしくは、腹痛を抑える薬は、痛みそのものを抑制するのではなく、いかに胃腸をリラックスさせるかが重要となりますが、より強く働きをよくする薬が同時に使われることによって、緊張感が増して余計に痛みを増幅させてしまうことにもなります。
薬選びは悩みの大きい症状から先に
いくつかの症状が重なる場合は、まず最も大きい症状に対する薬を服用します。
その症状の改善具合を確認した上で、少なくとも30分〜1時間の間隔をあけてからもう1つの症状に対応する薬を服用します。
薬が重ならないようにすることが大切です。
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