働くのが怖いとき「怖さの正体」を書き出せば一歩を踏み出せる!ローマの哲学者の対策を紹介
働くのが怖い。
また怒られるのではないか、うまくできないのではないか、人の中でやっていけるのだろうか。
そう考えると体がこわばって、働きに出る一歩が踏み出せない。
そんなふうに、働くこと自体が怖くなってしまうことはありませんか?
働くのが怖いときは、「怖さの正体」を1つずつ書き出すことで、一歩を踏み出せます。
なぜなら、働くことへの怖さの多くは、何が怖いのかがはっきりしないまま、大きなかたまりとして感じていることから生まれているから。
実はこの考え方、約2000年前のローマの哲学者セネカが、不安を抱える友人に宛てた手紙に書き残したもの。
セネカは、子どもが仮面をつけた人を怖がるように、私たちも物事の見かけを怖がっているのだと書いていました。
その言葉が、働くことへの怖さを小さくするための大きなヒントになります。
この記事を読むとわかること
- 働くのが怖くなってしまう理由
- ローマの哲学者セネカが書いた「物事から仮面をはがす」という考え方
- 「怖さの正体」を書き出して、働く一歩を踏み出す方法
この記事を読めば、働くことへの怖さに飲み込まれず、自分のペースで一歩を踏み出せるようになります。
働くのが怖いのは、何が怖いのかがはっきりしないまま大きく感じているから

働くのが怖いと感じるのは、おかしなことではありません。
過去につらい思いをしたり、長く仕事から離れていたりすれば、怖くなるのは自然なことです。
ただ、その怖さを大きくしているのは、仕事そのものだけではありません。
「何が怖いのか」がはっきりしないまま、ぼんやりと大きなものとして感じていることが、足を止めさせているのです。
ここでは、働くのが怖くなってしまう理由を見ていきます。
過去のつらい経験が、次の一歩を重くする
働くのが怖くなるきっかけは、多くの場合、過去の経験にあります。
・前の職場で、強く叱られ続けた
・大きな失敗をして、周りに迷惑をかけた
・職場の人間関係で、つらい思いをした
一度つらい経験をすると、「また同じことが起きるのでは」と考えてしまいます。
まだ起きていないことまで、もう一度起きるように感じられてしまうのです。
怖さは、ぼんやりしているほど大きく見える
働くのが怖いとき、怖さの中身は、意外とはっきりしていません。
・とにかく怖い
・なんとなく、うまくいかない気がする
・考えただけで、気持ちが重くなる
正体のわからないものは、実際よりも大きく、強く見えるものです。
何が怖いのかがわからないから、どう備えればいいのかもわからず、動けなくなってしまうのです。
では、ぼんやりとした怖さと、どう向き合えばいいのか。
そのヒントを、約2000年前のローマの哲学者セネカが、友人への手紙に書き残しています。
セネカに学ぶ|怖いものの「仮面」をはがせば、本当の姿が見えてくる

セネカは、約2000年前のローマで活躍した哲学者です。
皇帝ネロの教育係を務めたことでも知られています。
そのセネカが、晩年に友人ルキリウスに宛てて書いた手紙が、『倫理書簡集』としてまとめられています。
その中に、先のことを恐れている友人に宛てた手紙があります。
ここでは、セネカが友人に伝えた、怖さとの向き合い方を紹介します。
「人からだけでなく、物事からも仮面をはがそう」
セネカは、第24書簡の中で、こう書いています(訳は筆者によるもの)。
> 子どもたちに起きることは、少し大きな子どもである私たちにも起きている。子どもは、大好きな人や、いつも一緒に遊んでいる人でも、仮面をつけて現れると、ひどく怖がる。私たちは、人からだけでなく、物事からも仮面をはがし、それぞれに本来の姿を取り戻させるべきだ。
子どもが怖がっているのは、仮面の下にいる人ではなく、仮面そのものです。
仮面をはずせば、そこにいるのは、いつもの見慣れた顔です。
セネカは、大人の私たちも同じだと言います。
怖がっているのは、物事そのものではなく、その見かけなのです。
「恐れているものを測ってみれば、小さいか、長くは続かないとわかる」
セネカは、同じ手紙の中で、こうも書いています(訳は筆者によるもの)。
> どんな心配ごとであれ、心の中でそれを測り、自分の恐れの大きさを見積もってみなさい。そうすれば、あなたが恐れているものは、大したものではないか、長くは続かないものだとわかるだろう。
怖さは、測らないままにしておくと、どこまでも大きくなります。
でも、何が怖いのかを1つずつ取り出して測ってみれば、思っていたほど大きくないことに気づけるのです。
ここからは、セネカの考え方を、働くのが怖いときに使える手順にして紹介していきます。
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働くのが怖いとき「怖さの正体」を書き出せば一歩を踏み出せる

働くことへの怖さを小さくするために必要なのは、怖さを無理に押さえつけることではありません。
怖さの正体を、1つずつ書き出して、仮面をはがしていくことです。
正体がわかれば、それぞれに備えることができ、一歩を踏み出しやすくなります。
それでは、4つの手順に分けて紹介します。
手順1:働くことの何が怖いのかを、すべて書き出す
まず、働くことの何が怖いのかを、思いつくまま書き出します。
・仕事を覚えられずに、怒られるのが怖い
・職場の人と、うまく話せないのが怖い
・朝、決まった時間に起きて通えるかが怖い
・また体調をくずすのが怖い
「とにかく怖い」を、できるだけ細かく分けて書きます。
書き出すことで、大きなかたまりだった怖さが、いくつかの小さな怖さに分かれていきます。
手順2:1つひとつに「起きたら、どうなるか」を書く
書き出した怖さの1つひとつに、「それが本当に起きたら、どうなるか」を書きます。
・仕事を覚えられず、注意された → メモをとって、次に同じことを聞かないようにする
・職場の人と、うまく話せなかった → あいさつだけは続けて、少しずつ慣れていく
・朝起きられなかった → 連絡を入れて、次の日の準備を見直す
セネカの言う「恐れを測る」作業です。
書いてみると、起きたとしても、自分で対処できることがほとんどだと気づけます。
手順3:いちばん小さな一歩を決める
次に、今の自分にできる、いちばん小さな一歩を決めます。
・求人を1件だけ見てみる
・週に2〜3日、短い時間の仕事を探してみる
・働いている知り合いに、職場の様子を聞いてみる
・朝、仕事に行くつもりで決まった時間に起きてみる
いきなり毎日フルタイムで働こうとしなくてかまいません。
怖さが小さくてすむ一歩から、始めればいいのです。
手順4:一歩を踏み出したら、怖さがどう変わったかを書く
小さな一歩を踏み出したら、怖さがどう変わったかを書きます。
・求人を見てみたら、短い時間の仕事が思ったより多かった
・朝起きる練習をしたら、3日目から楽になった
・知り合いの話を聞いたら、少し安心できた
踏み出す前の怖さと、踏み出したあとの怖さを比べてみます。
仮面をはがしたあとの本当の姿は、思っていたより小さいと感じられるはずです。
怖さを前もって小さくする、セネカのもう1つの考え方

怖さの正体を書き出しても、「それでも、もしものことが起きたら」という気持ちが残ることがあります。
そんなときは、先のことを心配しすぎて、今を苦しくしていないかを確かめてみてください。
セネカは、同じ手紙の冒頭で、先のことを恐れる友人に、まずこう語りかけています。
ここでは、怖さを前もって小さくするための、セネカの考え方を紹介します。
「いつか不幸になるかもしれないからと、今不幸になるのは愚かなことだ」
セネカは、第24書簡の冒頭で、こう書いています(訳は筆者によるもの)。
> いつか不幸になるかもしれないからといって、今から不幸になっているのは、愚かなことだ。
つらいことが本当に起きるなら、そのときに向き合えば足ります。
まだ起きていないうちから、何度も頭の中で味わう必要はありません。
働き始めたあとに、うまくいかないことは、きっといくつか起きるでしょう。
でも、それは、起きたときに1つずつ対処していけばいいことです。
怖さを感じながらでも、小さな一歩は踏み出せます。
その一歩を重ねていくうちに、働くことは、少しずつ怖いものではなくなっていくのです。
まとめ:働くのが怖いときは「怖さの正体」を書き出してみよう!

最後に、この記事のポイントをまとめます。
働くのが怖いのは、何が怖いのかがはっきりしないまま大きく感じているから
過去のつらい経験が、次の一歩を重くします。
怖さは、ぼんやりしているほど、実際よりも大きく見えてしまいます。
セネカは「人からだけでなく、物事からも仮面をはがそう」と書いた
子どもが怖がっているのは、仮面の下の人ではなく、仮面そのもの。
恐れているものを測ってみれば、大したものではないか、長くは続かないとわかる、とセネカは書いています。
怖さを書き出し、「起きたらどうなるか」を書いて、いちばん小さな一歩を決める
働くことの何が怖いのかを、すべて書き出す。
1つひとつに、起きたらどうなるかを書く。
いちばん小さな一歩を決める。
一歩を踏み出したら、怖さがどう変わったかを書く。
働くのが怖いと感じるのは、それだけ真剣に働くことと向き合っているからです。
あなたが、自分のペースで小さな一歩を踏み出せることを、心から応援しています。
同じように仕事に悩むときに役立つ記事です。


セネカの手紙を読んでみたいあなたへ
この記事で紹介した言葉は、セネカが友人ルキリウスに宛てた手紙(『倫理書簡集』)に収められています。
日本語訳は、訳者の違う2冊があります。
参考文献
- セネカ『倫理書簡集』第24書簡 第1〜2節・第13節(英訳:Richard Mott Gummere 訳、Wikisource https://en.wikisource.org/wiki/Moral_letters_to_Lucilius/Letter_24)
