健康管理士の健康講座

【胃疾患】~病気と栄養~

 

病気の概要

 

胃は、消化管の中で最も膨大しあた部分です。

 

胃液を分泌する分泌作用と摂取した食物を一時的に貯留し、胃液と食物を攪拌(かきまぜること)混和し、半流動状にして少しずつ十二指腸に送り出す貯留、排出作用があります。

 

胃疾患とは、胃の粘膜に炎症が起こることによって、粘膜がただれる、はがれる、委縮するといった症状が現れる疾患です。

 

胃炎

 

(1)急性胃炎

発症に関与するものとして、暴飲暴食、アルコール、コーヒー、炭酸飲料、香辛料などの刺激物、熱い物や冷たい物の過剰摂取、食中毒、薬物、特定食品のアレルギー反応、ストレスなどが挙げられます。

 

これらの原因を除去すれば数時間から数日間で治癒する急性の胃粘膜の炎症であり、胃カタルとも呼ばれます。

 

急性胃炎では、食欲不振、上腹部不快感、悪心、嘔吐、疼痛などの症状がみられます。

 

痛みの程度はさまざまで、膨満感程度からときには激痛を感じることもあります。

 

(2)慢性胃炎

胃粘膜の炎症が長期間持続した状態で、胃液分泌腺の委縮もみられます。

 

発症に関与するものとして、急性胃炎の反復、加齢による胃の委縮、消化性潰瘍、胃がん、胃ポリープなどの腫瘍、胃切除などによる胃の内容物の長期停滞、腸液の逆流などが挙げられます。

 

また、近年ではピロリ菌の感染も主要な原因と考えられています。

 

慢性胃炎では、空腹時や夜間の胃の痛み、胸やけ、もたれ感、膨満感、げっぷなどがみられますが、無症状のことも多いです。

 

いずれの症状もあまり強く現れませんが、比較的長く続く特徴があります。

 

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消化性潰瘍

 

胃炎のほかに、胃から分泌される胃酸(塩酸、ペプシン)と胃酸から胃壁を守る粘液の分泌とのバランスが崩れ、胃酸によって胃壁に潰瘍ができ、痛みや出血を伴う胃潰瘍があります。

 

胃潰瘍の症状や治療法の多くは十二指腸潰瘍にも当てはまるため、これらを総称して消化性潰瘍と呼びます。

 

ピロリ菌感染によるものが多く、90%以上を占めます。

 

十二指腸潰瘍は若年者に多く、胃潰瘍は中年以降に多いことが特徴です。

 

心身の過労、特に精神的ストレスによって胃液中の塩酸とペプシンがさまざまな要因でバランスを崩し、分泌が亢進することで胃または十二指腸の粘膜の一部を自己消化してしまい、粘膜が侵されます。

 

その結果、心窩部痛(みぞおちの痛み)、背部痛、食欲不振、体重減少、吐血、下血、胸やけ、もたれ感などが現れます。

 

食後30~60分ごろに痛みが増悪する場合は胃潰瘍、食後2~3時間や夜間に増悪する場合は十二指腸潰瘍である場合が多いです。

 

合併症として出血と穿孔(穴があくこと)があり、一刻も早い専門医での治療が必要です。

 

出血した場合は、頻脈、冷や汗、血圧低下、吐血、下血などの症状が現れます。

 

食事の基本方針

 

胃粘膜を強く刺激する食事を避け、規則正しく食事を取るようにします。

 

(1)胃に負担をかける食品を避ける

アルコール、コーヒー、炭酸飲料、香辛料などの刺激物、熱い物や冷たい物は、胃粘膜の炎症の原因となるので避けます。

 

また、食塩(ナトリウム)を多く含む食品、脂質の多い食品、生肉、生野菜などは、胃液の分泌を促進するため控えます。

 

(2)胃の負担を軽くする食品を取る

消化のよい食品を摂取することで、胃への負担を軽減することができます。

 

-胃炎、消化性潰瘍に適する食品-

穀類 重湯、葛湯、粥、軟飯、うどん、もちなど
いも類 じゃがいも、ながいも、さといもなど
豆・大豆製品 豆腐、納豆、豆乳、きな粉など
魚介、肉、卵 白身魚、鶏肉(ささ身、皮なし)、脂の少ない肉(ヒレ肉、豚もも肉)、卵など
牛乳・乳製品 牛乳、ヨーグルト、チーズなど
野菜 軟らかく煮たもの(かぶ、にんじん、だいこん、かぼちゃ、カリフラワー、キャベツなど)
果物 熟したもの(バナナ、もも、洋なし、りんご)、皮をむいて煮た果物、缶詰など
調味料、嗜好品 ジャム、番茶、麦茶、ゼリー、ミルクセーキ、ババロアなど

 

(3)良質のタンパク質を十分に摂取する

タンパク質は、胃粘膜の血流を増加させ、傷口を修復する働きがあるので、十分に摂取するようにします。

 

(4)ビタミン、ミネラルを十分に摂取する

胃の機能が低下しているときは、特に鉄の吸収率が低下します。

 

そのため、赤血球の生成に関与するビタミンB12や葉酸、鉄の吸収をよくするビタミンCとともに鉄を十分に摂取します。

 

(5)暴飲暴食を避ける

一度に大量の食物摂取を避け、1日に4~5回食とし、少量ずつ規則正しく摂取します。

 

(6)禁煙する

喫煙は、胃酸の分泌を促進し、同時にニコチンが粘膜の血流を妨げるので禁煙します。

 

(7)症状に合わせた食事療法を取り入れる

 

1)急性胃炎

発症後1~1日程度は絶食とします。

 

段階的に症状が軽くなり、食欲が出てきたら、炭水化物の流動食から摂取をはじめます。

 

以後は、症状に合わせて段階的に軟食から常食へと戻していきます。

 

胃の炎症を抑え、粘膜を保護することを第一の目的とします。

 

2)慢性胃炎

胃液中の酸濃度の高さによって低(無)酸性胃炎と過酸性胃炎とに分類されます。

 

低(無)酸性胃炎は、胃液を分泌する胃腺が委縮して胃液内の塩酸の分泌が少なくなるため、タンパク質の消化力が落ちます。

 

そのため、少量で栄養価が高く、消化のよい食品を選ぶことが大切です。

 

一方の過酸性胃炎では、塩酸の分泌が多くなるため、香辛料や炭酸飲料、コーヒーなど胃粘膜を刺激したり胃液の分泌を促進したりするような食事を制限します。

 

3)消化性潰瘍

出血時:絶食して、静脈栄養補給(注1)とします。

 

急性期:流動食→3分粥→7分粥→全粥(注2)と進めていきます。脂質の摂取を減らし、刺激物の少ない食事を2~3時間ごとに取り、鉄やビタミンを十分に摂取します。

 

回復期:胃の粘膜を刺激する食品を避け、良質のタンパク質、ビタミン、ミネラルを十分に摂取します。

 

(注1)静脈栄養補給とは、普通に口から食べるのが不十分な場合、または消化管が機能していない場合などに栄養素を補給する目的として静脈を通して行われる栄養補給方法のことをいいます。

 

(注2)粥の濃さは、米と水の割合によって決まります。3分粥は米1:水20、7分粥は米1:水7、全粥は米1:水5の割合で炊いたものです。

 

 

 

 

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