健康管理士の健康講座

【肥満】~病気と栄養~

 

病気の概要

 

肥満とは、体内の脂肪組織が過剰に増加した状態をいいます。

 

むくみや腹水(腹腔内への体液の貯留)による水分の貯留やスポーツマンにみられるような筋肉組織の増加は過体重といい、肥満とはいいません。

 

肥満は、糖尿病や脂質異常症、高血圧、高尿酸血症などを合併しやすく、動脈硬化症の危険因子が多数重なり合うため、狭心症や心筋梗塞、心不全、脳卒中などの危険因子といわれます。

 

単純性肥満と症候性肥満に大別されますが、本章では肥満の大部分である単純性肥満について述べます。

 

単純性肥満とは「エネルギーの過剰摂取や運動不足によってもたらされる肥満」という意味です。

 

症状として、体を動かしたときの呼吸促進、動悸、多汗症などが挙げられます。

 

なお、症候性肥満とは「単に食べすぎや運動不足が原因ではなく、病気などほかに原因があって引き起こされる肥満」であり、視床下部障害(注1)や甲状腺機能低下症(注2)などの内分泌性疾患が原因疾患として挙げられます。

 

そのような場合は、それぞれの病気に準じた食事療法が必要となります。

 

(注1)視床下部障害とは、視床下部の満腹中枢が障害され、肥満となることをいいます。

 

(注2)甲状腺機能低下症とは、甲状腺機能の低下によって脂肪分解が阻害され、肥満となることをいいます。

 

食事の基本方針

 

原則は、食事療法と運動療法を併用することです。

 

医師と管理栄養士の厳重な管理のもと食事療法が行われることもあり、その際は摂取エネルギー料を制限し、消費エネルギー量を増加させて体脂肪の消費を図り、体重を適正にすることを目指します。

 

同時に誤った食習慣を改善することも目的とします。

 

(1)適正エネルギー量の設定

性、年齢、身長、体重、身体活動レベル、合併症の有無などを総合的に考慮し、適正エネルギー量(1日の必要エネルギー量)を算出します。

 

むやみに摂取エネルギーを制限すると、筋肉などの体タンパク質がエネルギー源として消費されてしまうほか、貧血、骨粗しょう症、無月経、拒食症といった症状を引き起こすので、適正エネルギー量を把握することが重要です。

 

(2)炭水化物の過剰摂取を控える

炭水化物は、脳の貴重なエネルギー源となるので、極端に制限することのないようにしなければなりませんが、エネルギー源として利用されない分は中性脂肪に転換し貯蔵されるため、過剰な摂取は控える。

 

(3)脂質は不飽和脂肪酸を多く含む植物油などを中心に使用する

脂質は、極端に制限すると空腹感が促進されるので注意する。

 

(4)タンパク質は必要摂取量を確保する

タンパク質は、脂質代謝にも関与するため、良質で脂質の少ない赤身肉、魚介類、豆類などを中心に摂取する。

 

(5)ビタミン、ミネラル、食物繊維を十分に摂取する

食事量を制限すると不足しやすくなるため、積極的に摂取する。

 

特に、食物繊維は、食物の胃内滞留時間を延長し、食後の血糖値上昇を抑制するので意識的に摂取することが勧められる。

 

(6)食塩、香辛料を制限する

濃い味付けは食欲を増進させるので、食塩や香辛料は控えめにする。

 

(7)そのほか(食事摂取の要点)

●1日3回、決まった時刻に食べる

特に、朝食を欠食しないように注意する。

 

朝食を欠食してしまうと、次に取る食事の量が多くなる傾向にあります。

 

一度にたくさん食べると、消化・吸収機能に負担をかけてしまいます。

 

また、夕食の時間が深夜になる場合は、前もって栄養素の補給ができるような間食を取り、夕食の量を少なくするとよいです。

 

●食べる順序を考える

食物繊維を多く含む副菜や汁物を先に食べることで、血糖値上昇抑制作用によって自然と主食や主菜の量を減らすことができます。

 

●よく噛み、時間をかけて食べる

血糖値が上昇し、満腹感を得るまでには数十分を要するため、会話を楽しんだり、噛む回数を意識したりするとよいです。

 

急いで食べるとインスリンの分泌が高まり、エネルギー源を脂肪組織に貯蔵されやすくなります。

 

最近の疫学調査の結果で、早食いの人はBMIが高い傾向にあることが分かり、早食いが肥満と密接な関係にあることが明らかになってきています。

 

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運動療法

 

肥満を解消するためには、食事を適正化するとともに、脂肪を燃やす有酸素運動と筋肉量を増やす無酸素運動を組み合わせて行うとより効果的です。

 

運動を継続すると、次のような効果も期待できます。

 

(1)インスリンの感受性(注)が向上する、糖代謝が改善する

ブドウ糖の利用効率が上昇するため、血糖値の正常化が期待できます。

 

(注)インスリンの感受性とは、同じインスリン濃度でどれだけたくさんの糖を取り込むことができるかの指標のことをいいます。

 

(2)中性脂肪の減少とHDLコレステロールの増加

体内の中性脂肪が減り、HDLコレステロールが増えることによって、脂質異常症や軽度高血圧の改善が期待できます。

 

体脂肪は、燃えるときに酸素を必要とするため、酸素をたくさん取り込むことができる有酸素運動を行うと効率よく燃焼することができます。

 

長時間続けられるウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、ゆっくり泳ぐ水泳などが勧められます。

 

また、無酸素運動も取り入れることで、筋肉量を増やして基礎代謝を上げ、体脂肪が燃えやすい体をつくることができます。

 

スポーツジムなどにある機械で鍛える筋肉トレーニングや、軽い重りを反復して持ち上げるような運動が勧められます。

 

このように、有酸素運動を中心として、無酸素運動も取り入れながら運動を習慣化するとよいです。

 

ただし、血圧や心電図に異常のある人、糖尿病や腎臓病、心疾患などの慢性病を合併している人は、自分の判断だけで行うとかえって危険を伴うこともあるので、運動をはじめる前に必ず医師に相談の上、適応する運動を行うことが重要です。

 

運動によって大量に発汗すると一時的に体重は減少しますが、これは体内の水分が減少したからであり、水分を補給すれば体重は元に戻ります。

 

体脂肪が減ったわけではないという点に注意しましょう。

 

行動療法

 

行動療法とは、ある目的に対して、不適応と考えられる行動を自らの力で合理的に修正させ、望ましい適応行動の習慣付けを図ろうとするものです。

 

肥満においては、日常生活を見直し、どのような行動が肥満を招いたのかを明らかにした上で生活習慣を修正し、望ましいライフスタイルの確立を図ります。

 

成功すれば、肥満が解消した後に適正体重を維持するためにも大いに役立ちます。

 

行動療法の基本方針例は、次の通りです。

 

(1)記録表を作成する

生活習慣を視覚化し、食行動のパターンを把握することで、ゆがみを認知し、自らの力で修正することができます。

 

次のような内容の記録表を作成するとよいです。

 

●体重記録表

毎朝、排尿・排便後に体重を測定し、記録することで、変動を把握できます。

 

●食事記録表

食事の開始時刻と終了時刻、食事内容、喫食場所や摂取状況(テレビを視聴しながらなど)などを記録します。

 

毎食後に、摂取した物すべてをすぐに記録するとよいです。

 

食事量を一目で把握することができる上に、反省材料としても活用できます。

 

●運動記録表

運動の種類、行った時間などを記録します。

 

(2)外食時の注意点

なるべく定食を食べるようにすると、栄養素のバランスが取りやすいです。

 

焼き魚や刺身などの主菜に、煮物やお浸しなどの副菜が付いているものがよいです。

 

主食の量も控えめにします。

 

単品料理は、具が多いものを選ぶ。

 

ビタミンやミネラルが不足しやすいため、食後や食間に野菜ジュースや果汁100%ジュースなどで補うとよいです。

 

また、脂質の過剰摂取に注意します。

 

洋食はバターや生クリーム、中華はラードなどを使っているため、エネルギー量が高くなりがちです。

 

マヨネーズやドレッシングも量に気を付けます。

 

-外食メニューのエネルギー量の目安(1食分)-

料理名 エネルギー量目安(kcal)
五目チャーハン 826
カツ丼 806
ビーフカレーライス 772
スパゲティナポリタン 659
天ぷらそば 638
焼きそば 622
親子丼 616
にぎり寿司 521
ミックスサンドイッチ 464
しょうゆラーメン 453
ざるそば 366
ピザトースト 263

 

(3)アルコールの摂取を制限または禁止する

アルコールのエネルギー量は1g当たり7kcalです。

 

食欲亢進作用もあるため、制限する場合は、飲む量を1日当たりビール中瓶1本、日本酒1合、焼酎1合、ワイン2杯のうち、いずれか1種類までを目安とします。

 

-アルコール飲料のエネルギー量の目安-

食品名 目安量 容量(ml) エネルギー量

目安(kcal)

100ml当たりの

エネルギー量

目安(kcal)

ビール 普通サイズ缶 350 140 40
ロング缶、中ビン、中ジョッキ 500 200
大ビン 633 253
発泡酒 普通サイズ缶 350 158 45
ロング缶 500 225
清酒(日本酒) 1合 180 193 107
焼酎(25度) 1合 180 263 146
チュウハイ 普通缶サイズ 350 277 79
ワイン グラス1杯 100 73 73
ウイスキー ダブル1杯 60 142 237

 

(4)間食を制限または禁止する

やむを得ず食べたときは、昼食や夕食の主食を控えめにする。

 

-間食のエネルギー量の目安-

食品名 目安量 重量(g) エネルギー量

目安(kcal)

ポテトチップス 1袋 90 483
バニラアイスクリーム 1皿 200 371
ショートケーキ 1個 100 344
カステラ 1切れ 50 319
デニッシュペストリー 1個 80 317
あんドーナツ 1個 85 286
あんパン 1個 100 280
ミルクチョコレート 1枚 50 271
チーズケーキ 1個 150 266
クリームパン 1個 80 244
メロンパン 1個 65 236
どら焼 1個 85 216
今川焼 1個 50 212
ジャムパン 1個 70 208
カスタードプディング 1個 125 200
練りようかん 1切れ 50 148
シュークリーム 1個 60 145
サイダー 1缶 350 144
みかんゼリー 1個 185 110
バタークッキー 2枚 18 96
スポーツドリンク 1缶 340 92
せんべい 2枚 20 80
缶コーヒー 1缶 190 70
ミルクキャラメル 1個 3 21

 

 

 

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キラ
ブログ「Spesial Life」を運営しているキラと申します。 当ブログでは、たった一度の人生を豊かに彩るための情報を発信しています。 目まぐるしく変化する現代社会の中で、思うような人生を送ることができずに困っていることはありませんか? 僕自身、大学卒業後、サラリーマンとして生きていくなかで、想像していた人生とはかけ離れた不満だらけの日々を送っていました。 それがある本と出会い、考え方と行動を変えることで、自分が望むような人生が手に入ることを知ったんです。 それ以来、自分自身の考え方と行動を変えることを実践して、人生を素晴らしいものへと変えている真っ最中です。 このブログでは僕自身の実体験を踏まえた人生を変える情報や考え方を発信しています。 あなたにとって素晴らしい人生が手に入るよう、一緒に行動していきましょう!

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