仕事がつらいのは当たり前?つらさを2種類に分ければ乗り越え方が見える!渋沢栄一の対策を紹介
仕事がつらい。
でも、仕事がつらいのは当たり前なのかもしれない。
みんな我慢して働いているのだから、自分も我慢するしかない。
そう言い聞かせながら、つらさを抱えたまま毎日を過ごしていることはありませんか?
仕事のつらさは、「自分で変えられるつらさ」と「自分では変えられないつらさ」の2種類に分ければ、乗り越え方が見えてきます。
なぜなら、2種類のつらさは、乗り越え方がまったく逆だから。
実はこの分け方、新1万円札の顔として知られる渋沢栄一が、『論語と算盤』の中で書き残したもの。
渋沢栄一自身、時代の大きな変化の中で、何度も逆境に立たされてきた人です。
その渋沢栄一がたどり着いたつらさの分け方が、つらさを抱えたまま働くときの大きな支えになります。
この記事を読むとわかること
- 仕事がつらいのは当たり前だと我慢しても、つらさが軽くならない理由
- 渋沢栄一が『論語と算盤』に書いた、逆境の2つの種類
- つらさを2種類に分けて、それぞれを乗り越える方法
この記事を読めば、今の仕事のつらさとどう向き合えばいいのかを、自分で判断できるようになります。
仕事がつらいのは当たり前と我慢しても軽くならないのは、つらさの種類を分けていないから

仕事がつらいと感じたとき、「仕事なんてつらいのが当たり前」と自分に言い聞かせることがあります。
確かに、まったくつらさのない仕事はほとんどありません。
でも、すべてのつらさを同じように我慢していると、つらさはなかなか軽くなりません。
なぜなら、つらさには、我慢すべきものと、我慢しなくていいものが混ざっているからです。
まずは、つらさを分けずに抱えていると何が起きるのかを見ていきます。
変えられるつらさまで我慢すると、つらさはずっと続く
仕事のつらさの中には、自分から動けば変えられるものがあります。
・仕事のやり方を変えれば、減らせる残業
・一度相談すれば、分担を見直してもらえる仕事
・自分の思い込みを直せば、ぶつからずにすむ相手
こうしたつらさまで「当たり前」と我慢してしまうと、いつまでたっても状況は変わりません。
本当は変えられるはずのつらさを、ずっと抱え続けることになってしまうのです。
変えられないつらさを変えようとすると、心が疲れ果ててしまう
反対に、自分ではどうにもできないつらさもあります。
・会社の方針の急な変更
・業界全体の不況や、景気の悪化
・自分では選べない人事異動
こうしたつらさを、自分の力で何とかしようとすると、どれだけ頑張っても結果が出ません。
努力が報われない分だけ、心はどんどん疲れていきます。
我慢すべきつらさと、変えるべきつらさ。
この2つを分けることが、つらさを乗り越える最初の一歩です。
その分け方を、渋沢栄一は『論語と算盤』の中で、はっきりと書き残しています。
渋沢栄一に学ぶ|仕事のつらさは「人為的逆境」と「自然的逆境」に分けて考える

渋沢栄一は、つらい状況のことを「逆境」と呼び、逆境には2つの種類があると考えていました。
そして、2つの逆境は乗り越え方がまったく違う、と書いています。
渋沢栄一自身が、何度も逆境に立たされた経験から導き出した考え方です。
ここでは、渋沢栄一がどんな逆境を経験し、逆境をどう分けたのかを紹介します。
渋沢栄一も、時代の大きな変化の中で何度も逆境に立たされた
渋沢栄一は、1840年に生まれ、銀行や鉄道など、およそ500の会社づくりに関わった実業家です。
2024年に発行された新しい1万円札の顔にもなりました。
その渋沢栄一も、若い頃は思い通りにいかない人生を歩んでいます。
・若い頃は、江戸幕府を倒すべきだと考えて各地を奔走した
・その後、一橋家に仕え、幕府の家臣になった
・徳川昭武に随行してフランスに渡ったが、帰国すると幕府はすでに滅んでいた
自分なりに精一杯努力していたのに、時代の大きな変化に巻き込まれ、逆境に立たされた。
『論語と算盤』の中で、渋沢栄一は当時のことを「余は実に逆境の人となってしまった」と振り返っています。
『論語と算盤』に書かれた「人為的逆境」と「自然的逆境」
渋沢栄一は、『論語と算盤』の「大丈夫の試金石」という節で、逆境の分け方をこう書いています(原文より抜粋)。
> それが人為的逆境であるか、ただしは自然的逆境であるかを区別し、しかる後これに応ずるの策を立てねばならぬ。
今の言葉にすると、こういう意味です。
逆境に立ったときは、それが「人為的逆境」なのか、「自然的逆境」なのかを、まず区別しなさい。
そのうえで、それぞれに合った対策を立てなさい。
・人為的逆境:自分の行いや考え方から生まれた逆境。自分から動けば変えられる
・自然的逆境:時代の変化や社会の動きなど、自分の力ではどうにもならない逆境
仕事のつらさに当てはめると、「自分で変えられるつらさ」と「自分では変えられないつらさ」になります。
では、2種類のつらさを、それぞれどう乗り越えればいいのか。
ここからは、渋沢栄一の考え方を、今の仕事で使える手順にして紹介していきます。
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仕事がつらいときは「変えられるつらさ」と「変えられないつらさ」に分ければ乗り越え方が見える

つらさを乗り越えるために必要なのは、すべてを我慢することではありません。
今のつらさを2種類に分けて、それぞれに合った乗り越え方を選ぶことです。
分けてしまえば、「変える」か「受け止めて続ける」か、やるべきことがはっきりします。
それでは、4つの手順に分けて紹介します。
手順1:今、つらいと感じていることを書き出す
まず、仕事でつらいと感じていることを、思いつくまま書き出します。
・毎日の残業が多い
・上司の指示がころころ変わる
・会社の業績が悪く、ボーナスが減った
・苦手な仕事ばかり回ってくる
頭の中だけで考えていると、つらさは1つの大きなかたまりに感じられます。
書き出してみると、つらさがいくつかの小さなものに分かれていることに気づけます。
手順2:「自分から動けば変えられるか」で2つに分ける
書き出したつらさを、1つずつ「自分から動けば変えられるか」で分けていきます。
・自分のやり方や、誰かへの相談で変えられそう → 変えられるつらさ
・会社の方針や景気など、自分ではどうにもならない → 変えられないつらさ
迷うものは、「少しでも自分にできることがあるか」で考えてみてください。
1つでもできることがあれば、変えられるつらさに入れておきます。
手順3:変えられるつらさは、自分から動いて改める
変えられるつらさについて、渋沢栄一はこう書いています(原文より抜粋)。
> 何でも自分に省みて悪い点を改めるより外はない。
さらに渋沢栄一は、「自分からこうしたい、ああしたいと奮励さえすれば、大概はその意のごとくになるものである」とも続けています。
変えられるつらさは、待っていても変わりません。
自分から一歩動くことで、はじめて変わり始めます。
・仕事のやり方を見直して、残業を減らす
・抱えきれない仕事は、上司に分担を相談する
・苦手な仕事が続くなら、希望を伝えてみる
それでも職場の環境そのものが変わらないなら、異動や働く場所を変えることも、自分から動いて改める方法の1つです。
手順4:変えられないつらさは、受け止めたうえで続ける
変えられないつらさについて、渋沢栄一は、まず自分の受け持つべきものだと覚悟することが唯一の対策だ、と書いています。
そして、変えられないことを無理に変えようとすれば、苦労の種が増えるばかりで、やがて逆境に疲れ果ててしまう、とも書いています。
そのうえで渋沢栄一がすすめたのは、焦らずに次の機会を待ちながら、たゆまず、屈せずに努力を続けることでした。
・会社の業績は変えられなくても、自分の仕事の質は上げられる
・景気は変えられなくても、次に備えて力をつけておける
変えられないことに気持ちを使いすぎず、自分にできることに力を注ぐ。
それが、変えられないつらさを乗り越える方法です。
ローマの哲学者セネカが伝える、つらさを乗り越えるためのもう1つの考え方

つらさを2種類に分けても、変えられないつらさがすぐに消えるわけではありません。
受け止めて続けると決めても、心が折れそうになる日はあるでしょう。
そんなときに支えになるのが、約1950年前のローマの哲学者セネカの言葉です。
実はセネカも、渋沢栄一とよく似た考え方を書き残しています。
「火は金を試し、逆境は強い人を試す」
セネカは、『神慮について』という本の中で、こう書いています(訳は筆者によるもの)。
> 火は金を試し、逆境は強い人を試す。
金は、火にかけられることで、本物かどうかが確かめられます。
同じように、人もつらい状況に立ったときに、本当の強さが確かめられる、という意味です。
渋沢栄一も、自然的逆境のことを「大丈夫の試金石」と呼んでいます。
大丈夫とは、立派な人物のこと。
試金石とは、金の質を確かめるための石のことです。
国も時代も違う2人が、どちらも逆境を「金を確かめるもの」にたとえているのです。
変えられないつらさは、自分の力を確かめる場になる
つらい状況を、良いものだと言いたいわけではありません。
つらいものは、つらいのです。
ただ、変えられないつらさの中で、たゆまず続けた経験は、あとで自分の力として残ります。
「あのつらい時期も乗り越えられた」という経験が、次のつらさに向き合うときの支えになるのです。
変えられないつらさを、ただ耐える時間ではなく、自分の力を確かめる場としてとらえる。
そう考えるだけで、つらさとの向き合い方が少し変わってきます。
まとめ:仕事がつらいときは「変えられるつらさ」と「変えられないつらさ」に分けてみよう!

最後に、この記事のポイントをまとめます。
仕事がつらいのは当たり前と我慢しても、つらさは軽くならない
つらさには、我慢すべきものと、我慢しなくていいものが混ざっています。
分けずにすべてを我慢していると、変えられるつらさまで抱え続けることになってしまいます。
渋沢栄一は、逆境を「人為的逆境」と「自然的逆境」に分けて考えた
自分から動けば変えられる逆境と、自分の力ではどうにもならない逆境。
渋沢栄一は、まずこの2つを区別してから、対策を立てるべきだと書いています。
変えられるつらさは改め、変えられないつらさは受け止めて続ける
変えられるつらさは、自分から動いて改める。
変えられないつらさは、受け止めたうえで、自分にできることにたゆまず力を注ぐ。
つらさを2種類に分けるだけで、我慢するしかなかった毎日に、やるべきことが見えてきます。
今の仕事のつらさと向き合うための一歩を踏み出せることを、心から応援しています。
同じように仕事に悩むときに役立つ記事です。


『論語と算盤』を読んでみたいあなたへ
この記事で紹介した「人為的逆境」と「自然的逆境」は、渋沢栄一の『論語と算盤』に収められています。
原文で読める1冊と、今の言葉に訳した1冊があります。
参考文献
- 渋沢栄一『論語と算盤』(1916年)「処世と信条」の章「大丈夫の試金石」(原文:渋沢栄一記念財団「テキストで読む」https://eiichi.shibusawa.or.jp/features/rongotosoroban/chapter1-9.html)
- セネカ『神慮について』第5章(英訳:Aubrey Stewart 訳 “Of Providence”、Wikisource https://en.wikisource.org/wiki/Of_Providence)
