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【腎臓病】~病気と栄養~

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病気の概要

 

腎臓は、へそよりやや上の背側に位置し、脊柱をはさんで左右1つずつ存在します。

 

大きさは成人の握りこぶし程度で、形はそら豆型です。

 

糸球体という毛細血管がたくさん集まった器官が存在し、血液をろ過して赤血球やタンパク質などの必要なものは血液として体内に戻し、水分やクレアチニンなどの不必要なものは尿として体外に排せつさせます。

 

腎臓は老廃物を尿として排せつする、水分バランスを調節する、ビタミンDを活性化する、赤血球産生ホルモンを分泌するなどの働きがあります。

 

そのため、腎臓の機能が低下すると、老廃物が体内にたまって尿毒症を引き起こしたり、水分を尿として排せつする力が低下してむくみを招いたりします。

 

また、骨粗しょう症や貧血の原因にもなります。

 

腎臓病とは、糸球体腎炎、腎結石、腎不全、ネフローゼ症候群、尿毒症などの総称ですが、ここでは糸球体腎炎について述べます。

 

糸球体腎炎とは、糸球体の炎症によってタンパク尿や血尿が出る病気を総称したもので、急性糸球体腎炎と慢性糸球体腎炎とに分類され、腎臓だけが障害される原発性と、膠原病や紫斑病(注)などの病気に伴って起こる続発性があります。

 

(注)紫斑病とは、血管や血小板の異常により、紫斑(内出血によってその部分が紫色に見えること)が主な症状として現れる病気のことをいいます。

 

急性糸球体腎炎

 

腎臓が細菌に感染することによって起こります。

 

小児に多く、扁桃炎などから発症し、むくみや高血圧、乏尿(注)、タンパク尿、血尿などが現れます。

 

2~3カ月でほとんどの症状が改善されますが、その後も糸球体に病変が残っていることが多く、半年ほどは安静が必要となります。

 

(注)乏尿とは、水分を多く摂取していても1日の尿量が400mlに満たないものをいいます。

 

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慢性糸球体腎炎

 

急性糸球体腎炎が進行して糸球体が破壊され、血液のろ過が十分できなくなるものと、急性腎炎を経過せずに発症したものとがあります。

 

その多くは成人にみられ、治癒が困難とされます。

 

さらに症状が進行すると腎不全の原因疾患となります。

 

慢性糸球体腎炎は、進行が遅く、治癒期間が長期に及ぶという特徴がありますが、急性と同様の症状が持続的にみられたり、あるいは無症状のことも多く、症状だけで急性か慢性かの判断は難しい。

 

食事の基本方針

 

タンパク質やミネラルなどの摂取を制限しながら必要量の栄養量を確保し、機能が低下した腎臓の負担を軽減することを目指します。

 

(1)タンパク質の摂取を制限する

腎臓機能が低下すると、タンパク質の代謝産物である窒素化合物などを排せつしきれなくなるため、大量にタンパク質を摂取すると腎臓の負担が増え、尿毒症を引き起こす恐れがあります。

 

(2)食塩(ナトリウム)の摂取を制限する

腎臓機能が低下するとナトリウムが排せつされにくくなります。

 

そのため、食塩を過剰に摂取するとナトリウムの血中濃度が上昇し、水分を引き込む性質によって体内の水分量が増え、むくみや高血圧を引き起こします。

 

(3)腎機能の低下が著しい場合は、カリウム、リン、水分の摂取を制限する

腎臓機能の低下が著しい場合は、尿細管での再吸収や排せつ機能の障害によって高カリウム血症を招く危険があるため、カリウムの摂取が制限されます。

 

カリウムは水に溶けやすいので、食品を水に浸したりゆでこぼしたりすることによって、摂取を控えることができます。

 

また、糸球体のろ過率が正常の4分の1以下になると、高リン血症が起こります。

 

その結果、腸からのカルシウム吸収が低下し、低カルシウム血症となるのでリンの摂取の制限が必要です。

 

むくみが顕著に現れているときや尿量が少なすぎるときは、ナトリウムだけではなく水分の制限も必要です。

 

この場合、飲み水だけではなく食品に含まれる水分量も含みます。

 

脱水症状になると、かえって腎臓機能の低下につながるので、必ず医師のもとで行わなければなりません。

 

(4)必要なエネルギー量を確保する

摂取エネルギー量が不足すると、筋肉などのタンパク質を破壊してエネルギー源として利用するようになります。

 

すると、血液中にタンパク質の代謝産物である窒素化合物などが増え、腎臓の負担が増えます。

 

また、筋肉などを破壊した際に、その細胞中のカリウムが血液中に流出するため、カリウム濃度が上昇して心臓に悪影響を与えます。

 

エネルギー源を確保するためには、油を活用し、卵はスクランブルエッグに、ご飯はチャーハンにするとよいです。

 

油の風味が減塩にも役立ちます。

 

(5)腎臓病食品交換表を活用する

 

1)食品交換表とは

腎臓病は、タンパク質制限が重要であるため、医師から指示された1日当たりのタンパク質摂取量をもとに献立を作成することが必要です。

 

腎臓病の食事療法を行う患者は、主治医や管理栄養士、看護師のいずれかから、食品交換表の使用方法を説明されます。

 

これにより、主治医の指示タンパク質量の範囲内で1日に何をどれだけ食べればよいか、また、それを朝食、昼食、夕食、間食でどのように配分すればよいかを把握することができます。

 

同時に、献立の立て方や、正しい食事療法についても知ることができます。

 

食品交換表では、糖尿病食事療法のための食品交換表と同様に、日常的に摂取する食品を役割ごとに6種類の「表(食品グループ)」に分類しています。

 

表5と表6の役割は、ともに「エネルギー源となる食品」ですが、表5は「タンパク質をほとんど含まないで炭水化物を多く含む食品」、表6は「タンパク質をほとんど含まないで脂質を多く含む食品」という違いあります。

 

「表」が同じであれば、好みに合わせて自由に食品を交換できます。

 

-食品の分類ー

役割 食品グループ(表)
主食 表1:ごはん、パン、めん
副食、デザート 表2:果物、種実、いも
副食、付け合わせ 表3:野菜
メインとなる副食 表4:魚介、肉、卵、豆とその製品、乳とその製品
エネルギー源となる食品 表5:砂糖、甘味品、ジャム、ジュース、でんぷん
表6:油脂
別表1~5 別表1:きのこ、海藻、こんにゃく
別表2:嗜好飲料<アルコール飲料><茶、コーヒーほか>
別表3:菓子
別表4:調味料
別表5:調理加工食品
治療用特殊食品 エネルギー調整用食品、タンパク質調整用食品、食塩調整用食品、リン調整用食品

 

また、糖尿病食事療法のための食品交換表との違いは、治療用特殊食品を利用することです。

 

治療用特殊食品は、次の通り分類されます。

 

-治療用の特殊食品の分類-

治療用特殊食品 特徴
エネルギー調整用食品 タンパク質が極端に少ないか、あるいは全く含まれない治療用特殊食品で、エネルギー不足を補うことを目的とする。炭水化物またはでんぷん類を主成分にするものと、油脂類を主成分にするものとがある
タンパク質調整用食品 主食のタンパク質含有量を減らすことを目的とする食品で、米飯類、パン類、めん類がある
食塩調整用食品 減塩、薄味の調味料類がある
リン調整用食品 高リン血症のときに利用する

 

2)食品交換表の使い方

 

①食品のタンパク質3g=1単位

 

腎臓病治療食の食品を選ぶときには、まずタンパク質を含む食品か、タンパク質を含まないでエネルギー源となる食品かを知ることが大切です。

 

腎臓病食品交換表の食品は、Ⅰタンパク質を含む食品(表1~4)と、Ⅱタンパク質を含まないでエネルギー源となる食品(表5,6)に分けられ、その上でそれぞれのエネルギー量や栄養素の特徴が似かよった食品グループに分けてあります。

 

なお、表1~4はタンパク質3gを含む食品の重量(g)を1単位としてあります。

 

●Ⅰタンパク質を含む食品(表1~4)について

 

Ⅰタンパク質を含む食品(表1~4)では、表ごとに1単位当たりの平均エネルギーが示されています。

 

従って、どの表の食品を何単位使うかが分かれば、簡単にエネルギー計算ができます。

 

-1単位当たりの平均エネルギー-

食品グループ(表) 1単位当たりの平均エネルギー
表1:ごはん、パン、めん 150kcal
表2:果物、種実、いも 150kcal
表3:野菜 50kcal
表4:魚介、肉、卵、豆とその製品、乳とその製品 30kcal

 

●Ⅱタンパク質を含まないでエネルギー源となる食品(表5、6)について

 

Ⅱタンパク質を含まないでエネルギー源となる食品(表5、6)は、表1~4で取るエネルギーの不足を補うものとして使います。

 

エネルギー100kcal当たりの食品の重量(g)が示されています。

 

●別表1~5について

 

別表の食品は、1回当たりの標準使用量(g)で表示されています。

 

主治医、管理栄養士の指示に従って、十分に注意して使用しなければなりません。

 

-1単位=タンパク質3gに相当する食品の重量(一例)-

食品名 重量(g) 備考
表1 ごはん 120 小茶碗1杯
食パン 30 8枚切り2/3枚
うどん(ゆで) 120 1/2玉
表2 りんご 1,500 中6個
キウイフルーツ 300 中3個
みかん 430 中5個
じゃがいも 190 中2個弱
さつまいも 250 大1本
表3 緑黄色野菜、淡色野菜 100 タンパク質が多めの野菜
緑黄色野菜、淡色野菜 200 タンパク質が多めの野菜(50g)と少なめの野菜(150g)
緑黄色野菜、淡色野菜 300 タンパク質が少なめの野菜
表4 たら 15 中1/4切れ
あじ 15 中1/5切れ
15 中1/5切れ
牛肉・もも(あぶら身なし) 20
豚肉・もも(あぶら身なし) 15
鶏肉・もも(皮なし) 15
鶏卵 25 1/2個
プロセスチーズ 15 1切れ
豆腐(木綿) 45
納豆 20 1/2パック

 

-エネルギー100kcal当たりの食品の重量(一例)-

食品名 100kcal当たりの重量(g) 備考
表5 砂糖 25
はちみつ 35
ジャム 40
オレンジジュース 240
はるさめ 30
表6 植物油 10 小さじ2と1/2杯
バター 15 大さじ1と1/4杯
マヨネーズ 15 大さじ1と1/4杯

 

②主治医による指示単位の配分

 

食品交換表を使用して食事療法を行う場合、主治医による1日の指示タンパク質量は、「単位」で表現されます。

 

これを「1日の指示単位」と呼びます。

 

例えば、主治医による1日の指示エネルギー量が2,000kcalで1日の指示タンパク質量が60gの場合、表1~4はタンパク質3gを含む食品重量を1単位として示してあるため、1日の指示単位は、60(g)÷3(g)=20(単位)となります。

 

つまり、食品交換表から1日に20単位の食品を選んで摂取すれば、簡単に栄養バランスのよい食事ができるということになります。

 

-腎臓病食品交換表-

2,000kcal/日

食品分類 Ⅰタンパク質を含む食品 Ⅱタンパク質を含まないでエネルギー源となる食品
表1 表2 表3 表4 表5 表6
ごはん

パン

めん

果物

種実

いも

野菜 魚介

豆とその製品

乳とその製品

砂糖

甘味品

ジャム

ジュース

でんぷん

油脂
単位 1 1 1 1
タンパク質含量(g) 3 3 3 3
1単位平均エネルギー(kcal) 150 150 50 30 不足エネルギーを補う
タンパク質重量(g) 単位
20 7 3 0.5 0.5 3 1,360
30 10 4 0.5 0.5 5 1,150
40 13 4 0.5 1 7.5 1,050
50 17 4 1 1 11 870
60 20 5

5×150=750

1

1×150=150

1.5

1.5×50=75

12.5

12.5×30=375

2,000-1,350=650
70 23 5 1 1 16 570

 

1日の指示単位が決まったら、それを朝食、昼食、夕食、間食に振り分けます。

 

どの表から何単位取るか、また、朝食、昼食、夕食、間食にどのように配分するかは、主治医や管理栄養士と相談します。

 

その際には、患者の食習慣や好みがある程度反映されます。

 

例えば、1日の指示単位が20単位の場合、表1の食品は1日5単位となります。

 

これを朝食2単位、昼食1.5単位、夕食1.5単位に配分したとします。

 

朝食で2単位という条件では、ごはんの場合は240g(1単位120g×2単位=240g)、食パンの場合は60g(1単位30g×2単位=60g)を食べることができるというように、「表」が同じであれば、好みに合わせて自由に食事を選ぶことができます。

 

 

 

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